※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

暗闇でもなく、お墓でもなく、血まみれでもなく、登場人物の精神異常のみで恐怖を与えるのは、もはや神業だ。

これは当然ジャック・ニコルソンの力もあるが、キューブリックの完璧を求める姿勢にもある。

ジャック・ニコルソンの狂気、そしてキューブリックが得意とするシンメトリーによって、恐怖が倍増するのだ。

この独特の雰囲気はコロンブスの卵であり、この映画に影響を受けているであろう作品は多々ある。

ホラー×アートによって、「怖い映画」を1つ上に進化させてしまったのだ。

特に、鏡の使い方、犬人間の使い方、迷路の使い方が素晴らしい。

これらがあるので、観終った後の余韻が残り、どんどん新しい疑問が生まれるのである。

ここにハマるとキューブリックの世界に引きずり込まれてしまうのである(笑)

 

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あらすじと感想

コロラドにあるロッキー山の上にあるオーバールック・ホテル。

このホテルは冬に閉鎖される。

その為、閉鎖される期間中の管理人を募集していた。

そこへ、主人公であるジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)が応募する所から物語は始まる。

ジャックは小説家希望であり、静かで落ち着ける場所を探していたのである。

しかも、管理人としての給料も貰えるので一石二鳥。

採用にも合格し、妻と息子を連れてオーバールック・ホテルを目指すのであった。

しかし、採用面接の時、一つだけ奇妙なことを言われる。

「以前の管理人が孤独に耐えられず、精神がおかしくなった。その結果、家族を斧で殺害し、自身も銃で自殺をした」というのである。

しかし、ジャックはあまり気にせず、妻もホラーが好きだから大丈夫などと言う。

そして、いざ管理人生活がはじまるジャック一家。

最初の頃は、誰もいないホテルで伸び伸び暮らしていたが、徐々にジャックがおかしくなるのである・・・

 

神経質になったジャックは、仕事の邪魔をされると狂ったように怒る。

しかし、ある日ジャックがいない間に途中まで書き上げた紙を妻が読んでみると・・・

「仕事ばかりで遊ばないジャックは今に気が狂う」という文字が何枚も何枚も書かれていたのだった。

ここもめちゃくちゃ怖い!

 

夫がおかしくなってしまった事に気づいた妻のウェンディ・トランス(シェリー・デュヴァル)は、息子ダニー・トランス(ダニー・ロイド)をつれて何とか生き延びる道を見つけるのである。

 

ハロランの意外性

料理長であるハロランは、ダニーと同じような力「シャイニング」の持ち主でもあった。

そんなハロランは一家を心配し、休養中にもかかわらずホテルに戻ってくる。

しかし、あっさりジャックに斧で殺されるのである。

「シャイニング」を使ってダニーと協力し、ジャックを止めるのかと思ったが、かなり意外だ(笑)

ちなみに、小説ではまた違った展開となる。

 

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犬人間の謎

後半で、妻ウェンディが逃げる途中、謎の犬人間と紳士の2人に遭遇する。

ここは前後の脈略もないので、かなりゾッとするシーンだ。

犬人間は、なにやら紳士の下腹部に近づいていた。

ゲイっぽい不気味なシーンなのである。

なぜ、こんなシーンを入れたのか?

これこそキューブリックのアートなのだと思われる。

例えば、ジャックの場合、体が腐っていく女性に遭遇した。

こういった方が本来は怖いはずなのだ。

しかし、犬人間とタキシード紳士。

それがゲイプレイをしている。

何とも言えない恐怖が襲ってくるのである。

 

ジャックニコルソンの狂気

この映画は、やはりジャックニコルソンの狂気が凄まじい。

ここまでの顔芸をすると、普通はコメディっぽくなってしまう。

それをしっかり恐怖にするのだから、名俳優の実力はとんでもないのである。

ジャケットにもなっている斧でドアを怖し、その隙間から顔を覗かせるシーンはホラーの名シーンだ。

キューブリックの完璧主義による異常なテイク数を乗り越えた、まさに完璧な演技である。

 

また、「キャラクターの怖さ」で言えば『エスター』もかなり怖い作品でおすすめだ。

映画「エスター」の感想・ネタバレ(83点)入れ歯や最後の正体について

シャイニングのような狂気の世界が好きな方は、きっと『エスター』も気に入ると思う。

 

また『エスター』と同じように、モンスターやお化けなどではないホラーとして『ゲットアウト』もおすすめだ。

映画「ゲットアウト」の感想・ネタバレ(83点)ホラーが苦手でも大丈夫?怖い?リアルな恐怖が体験できる作品

こちらも「人間」の狂気がよく描かれている。

 

 

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