※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

妻の失踪をメインに、暴走するメディアや、夫婦関係の闇などをミステリー風に描いた『ゴーンガール』

本作は何と言っても「構成」が凄い。

妻エイミー( ロザムンド・パイク)の失踪を追う夫ニック(ベン・アフレック)の目線だけではなく、適度に挿入される妻のドキュメンタリー風の手紙が絶妙なのだ。

失踪事件の真相が進みつつ、妻の手紙によって別の側面が映し出されていく。

この妻の視点と、夫の視点から、何度もどんでん返し的な展開となり、まったく目が離せなくなる。

この構成が本当に見事である。

夫の方に同情しそうになったら、次は妻の方にも同情し・・・という繰り返しになる。

しかし、後半になり事件の真相がみえてくると、とんでもないサイコスリラーが待ち構えているのである。

 

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実話がベースだから怖い!

『ゴーンガール』の前半のパートは妻の失踪に対する夫への疑心だ。

メディアでも大きく取り上げられ、悲劇の主人公となっている。

しかし、夫ニックには愛人が存在し、そのことによってまた反転していくのだ。

実は、この話にはベースとなる事件があり、実話を基にしている。

それが「スコット・ピーターソン事件」である。

2002年に起こった事件であり、本作と同じように妻レイシーが失踪した事件である。

夫が妻の失踪を通報するのだが、その言動や矛盾点などから容疑者となるのだ。

また、本作と同じように愛人がいることが発覚したり、どんどん本性がわかってくるのだった。

この様に、悲劇の主人公から一変して自分勝手な殺人者となりメディアを騒がせたのである。

これは『ゴーンガール』のニックそのものなのだが、一つだけ異なる点がある。

それは、ニックは妻を殺害していないという点だ。

『ゴーンガール』では妻が夫を陥れる為に、自ら失踪するのである。

この妻エイミーがなぜ失踪したのか?この真相がわかるにつれて背筋が凍りついていくのだ。

 

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エイミーのサイコキャラ

後半になると、驚愕の真相がみえてくる。

妻エイミーがとんでもないサイコキャラだったという展開だ。

児童文学のモデルであったエイミーは、小さい頃から人気者であった。

それらの影響からか、自分の持つ「理想」が歪んでいくのである。

そして、その「理想」が叶わないと周到な計画で相手を陥れていくのだ。

過去に付き合ってきた男たちも皆エイミーの策略によって不幸な目にあっている。

その計画性が尋常ではない。

あえて手首にひもを巻き傷つけ強姦を装ったり、ワインの瓶を使い自ら性器を傷つけたり、正体を隠す為に自らハンマーで顔を殴り目元を傷つけたり、ぶっ飛んでいる。

失踪を続けていたエイミーであったが、ある日ニックがテレビに出演し、その姿に再度「理想」を見出すのである。

こういったスグ心変わりする点もサイコ的な特徴を見事に描いている。

その結果、匿ってくれていた元彼の喉をカッターで切り付け殺害してしまう。

大きく計画が変更されてしまったが、魔術的な状況証拠を作り、元彼をストーカーに仕立て上げてしまうのだ。

そして、被害者としてニックの元へ戻ってくるエイミー。

ニックはすべてエイミーの仕業だと勘付くが、決定的な一撃を喰らってしまう。

それは、以前不妊治療をしていた時のニックの精子によって、なんと妊娠してしまうのだ。

これにより、離れられなくなってしまったニック。

このラストの絶望的なシーンは見物である。

また、エイミーが犯人であると知っていても何もできないFBIの感じもよい。

すべてはエイミーが先を読み手を打っているのだ。

なんとも救いのない映画だが、結婚生活の「理想」と「現実」を見事に描き切っている。

 

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