※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
ポスターから凄まじい弾幕がイメージできる『13時間ベンガジの秘密の兵士』。
2012年に起こった「アメリカ在外交官襲撃事件」をもとに作られている。
実話をベースにしているので、細部にいたるまでリアリティがあり、その戦闘シーンは本当の戦場のようである。
また、マイケルベイ監督が得意とする爆発シーンも迫力満点だ。
このように、戦闘の臨場感が凄まじい映画なのだが、ただドンパチするだけでなく、内容や展開の方もすごい。
現場の混乱、上司の判断力のなさ、言葉の通じない現地において誰が敵で誰が味方なのかわからい恐怖。
こういった恐怖・混乱が本作のメインテーマである。
そして、それを回避していく民間軍事請負業者「GRS」と呼ばれるチームの機転が見どころである。
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あらすじ
世界で最も危険なスポットの一つであるリビアのベンガジ。
アメリカはこのベンガジにCIAを秘密に設置していた。
そして、そのCIA職員を守るために「GRS」と呼ばれる民間軍事請負業者も派遣されるのであった。
このGRSはほとんどが元シールズ(特殊部隊)であり、戦闘のプロフェッショナルである。
ベンガジにはアメリカに友好的な市民もいるが、過激派も多く一時も油断できない状態である。
街中では武器をガンガン販売しており、銃を持つ者も多くみられる。
ベンガジではこれが日常であり、治安などとは無縁の世界なのである。
そんな中、アメリカ大使のクリストファー・スティーブンス大使が赴任してくる。
赴任先の領事館は防犯設備は整っているが、その護衛はたったの5人。
そして、地元のリビア人民兵を雇っているだけであった。
リビア人には、このクリストファー大使を支持するものも多く、ほとんどの人が友好的であった。
しかし、過激派のグループは計画的に迫ってくるのであった。
チーフの判断に翻弄される
現場ではチーフの支持に従わなければならないGRS。
自分たちCIA職員を上にみており、GRSを少し軽んじている表現がある。
しかし、いざ問題が発生すると保身のために適切な指示が出せなくなってしまう。
大使を助けにいくと、秘密裏に動いていたCIAの活動がバレてしまうからである。
よって頑なにGRSに対して「待機」と命令をするのだ。
このチーフの判断の遅れによって、あっという間に領事館は制圧され、建物に火をつけられ大使はガス中毒により亡くなってしまう。
あと少し救出が早ければ救えたかもしれなかった状況であったが、チーフの迷いが命取りになってしまうのである。
そして、過激派グループを勢いついてしまうことで、今度はアネックスが危なくなってしまうのだ。
こういった、先が読めないチーフの判断力により壊滅的な被害を受けることになってしまうのであった。
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救出が来ないという絶望感
領事館が襲撃され、そして、今度はCIAがいるアネックスがターゲットとなる。
過激派はどんどん勢いづき、大人数で襲撃しにくるのだ。
この緊張感は実話だからこそできる演出だ。
どのように施設を襲うのか?
徹底的な聞き込みやリサーチによって再現されており、思わず息を止めてしまう。
そしてアネックスへの襲撃からラストまで怒涛の勢いで戦闘が展開されていく。
銃撃戦では見事に返り討ちにするGRS。
しかし、過激派が「迫撃砲」を使うと戦局はいっきに変わる。
迫撃砲の攻撃力は凄まじく、建物は破壊され、死者や重傷者をだした。
敵か味方か?確認するハンデ
敵味方を確認せず、誤って無防備な人を襲撃すると国際問題となってしまう。
よって、相手の攻撃を待つ必要があるのだが、これが大きなハンデとなる。
過激派と思われる車が入口まで来るのだが、武装していなければ攻撃ができない。
その車は位置情報を味方に伝えていのである。
位置情報により、迫撃砲のターゲットにされてしまい、それによって崩壊していくのだ。
リビアの楯
過激派の迫撃砲による壊滅的なダメージを負ったGRS。
救助隊がくる予定もなく、脱出できない状況であった。
そんな中、数台の武装集団がアネックスに迫ってくる。
絶体絶命のピンチだ。
ここで銃撃戦になれば、数的不利で確実にやられてしまう。
しかし、そこに来た武装集団は「リビアの楯」と呼ばれるGRSに味方する武装集団であった。
このリビアの楯による援護により、CIA職員とGRSは無事にアメリカへ帰国するのであった。
これが本当に起きたことだと思うとゾッとする。
しかし、その描き方は一方的にアメリカを支持ものではなく、相手軍の遺族の悲しなども描かれており、戦争の悲惨さを表現している。
こういった実話を圧倒的な臨場感で描き切ったマイケルベイ監督の演出に脱帽である。
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