※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

1年間まったく寝れていない主人公を演じる為に84キロあった体重を54キロまで落としたクリスチャン・ベール。

4か月の間、1日の食料はツナ缶1つとリンゴ1つで過ごし30キロの減量を実現させた。

凄まじい役者根性である。(しかも、その後にバットマンビギンズの撮影があった為、再度84キロに戻した)

そんなクリスチャン・ベールが脚本を気に入り、自ら出演を申し出たのが本作『マシニスト』である。

時系列や、進み方が少し難しいので噛み砕いて解説していきたいと思う。

 

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超簡単な解説

まず、不眠症&幻覚&激やせの原因となっているのが人身事故。

主人公トレバー(クリスチャン・ベール)は元は普通の体形であった。

しかしある日、親子が道を渡ろうとしていた時に、子供の方を車で轢いてしまったのだ。

自分が事故を起こしたことに気づいていたトレバーであったが、混乱してしまいその場から逃げてしまうのであった。

この事故を起こした恐怖によって、不眠症&幻覚&激やせが発動するのである。

その中でも物語の中心となるのが幻覚だ。

これは現実逃避の為に起こす現象である。

子供を車で轢いたことを忘れる為に、嘘の記憶を作り上げていくのだ。

なかでもアイバンという架空の人物を作り上げ、アイバンが様々な事件を起こしていくように記憶をコントロールしていくのであった。

つまり、自分が起こした事故をごまかすために、アイバンという悪を作り、現実逃避をする物語なのである。

 

記憶を書き換えていく

この物語は主人公の記憶によって現実は別の世界を書き換えていく。

アイバンの指についても、職場で事故があったときの指の写真を鮮明に覚えていたので、その記憶を合成したわけである。

また、車で轢いてしまった子供に対してはニコラスと設定し、一緒に遊園地で遊んだりする。

そのニコラスの母をマリアと名付け、空港のウェイトレスとして設定している。

しかし、これらは実際には存在しておらず、全てトレバーが記憶から作り上げた幻覚なのである。

マリアの家でワインを入れるときに異変に気づくシーンがある。なぜならトレバーのアパートそのものだからである。

トレバーが変な違和感を感じるシーンが随所にあるが、あれは思い出したくない記憶が引き出され、一瞬現実に戻っているのである。

しかしそれを押し殺し、事故を起こした記憶にフタをして、都合の良いように書き換えているだけなのだ。

 

自責の念が強すぎた結果

ひき逃げをした主人公なので、当然であるが視聴者は共感できない。

しかし、それを繋ぎとめているのが不眠症と激やせなのである。

つまり、罪の意識が強すぎることによって、不眠症と激やせを引き起こしているのだ。

これがもし本物の悪であれば、のほほんと生きているはずである。

あの体形こそ、罪への自責の念なのである。

それが間接的に伝わることで、主人公への気持ち(同情)が最後まで離れないのだ。

そして、ラストでは自首する。

そこで始めて眠気が襲ってくるのである。

 

この映画はクリスチャン・ベールを観ているだけで何となく疲れてくる(笑)

そして、ラストで主人公が睡魔に襲われるように、観ている方も何となく眠くなってしまうのである(笑)

 

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