※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

スティーブン・キングの少し不思議なヒューマンドラマ『グリーンマイル』。

グリーンマイルとは死刑台に向かう緑色の通路を指し、刑務所の中を中心に話が進んでいく。

このタイトルの通り、死刑宣告を受けた受刑者とのやり取りが展開される。

当時は「電気椅子」を使った死刑の方法であり、結構生々しく描かれているので、こういったシーンが苦手な方は注意した方がよい。

特に中盤で、心無い看守(ポール)が憎む死刑因(デル)に対して、スポンジを濡らさないで死刑執行してしまう場面は強烈だ。

通常、早く感電死させる為に水で濡らしたスポンジを使うのだが、ポールはそれをやらなかったのである。

すると、苦しみは当然長くなり、肉体も焼かれる程続けなければならなくなる。

ここはトラウマシーンになる可能性が高い。

この様に、死刑執行の場面は目を覆いたくなるが、こういった強烈な『死』を演出することで『生』へのメッセージを強く伝えているのである。

 

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あらすじと感想

主人公のポール(トムハンクス)は死刑囚監房で看守の仕事をしている。

冒頭で「当時は大恐慌時代」というシーンがあり、ポールも精神的にキツイ看守を好きでやっているわけではないことが伺える。

そんな中、双子の少女を強姦殺人した罪で刑務所にやってきたジョン・コーフィに出会うことで物語は進む。

酷い尿路感染症に苦しんでいたポールだったが、ジョンが患部に手をかざすと、なんと治ってしまったのだ。

また、デルという死刑因が可愛がっていたネズミが、ポールに踏み殺されてしまった時も、ジョンが手の中で息を吹き込むと生き返ってしまうのだ。

この様な奇跡を目の当たりにした看守たちは、脳腫瘍で苦しんでいる刑務所所長ハルの妻も治すように計画をする。

そして、ハルの妻も見事に治ったのであった。

こうなると、ジョンは無実だと誰もが確信するのである。

しかし、罪を覆すことは不可能であり、ポールや他の看守も「職務」を全うするしかないのである。

無実だとしっていながら執行しなければならない葛藤。

ここが、この映画のメインテーマである。

ジョンは人を治す能力もあるが、その分、痛み・苦しみも敏感に感じ取ってしまう体質なのだ。

特に『愛を利用した犯罪』に心を痛めており、すでに疲れきっていたのである。

この様に、繊細で純粋な心を持つジョン。

そのジョンを無実と知りながら職務を果たさなければならないポール。

これほど残酷なことはない。

どうしても死刑執行の合図が出せないポール。

無意識に握手をすると、ジョンは「愛を利用した犯罪が世界中で起きている」と言い残し、ポールは合図を出すのであった。

ジョンもこういった苦しみから解放されたかったのだ。

それを察したポールが合図を送るシーンは涙が止まらなくなるほど悲しい。

 

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ラストについて

ジョンの死刑執行後、すぐに看守をやめたポール。

そこからは『少年更生院』で働き、少年少女を正しい道に導くことで心が救われたと回想する。

そして、冒頭で話していた老婆を丘にある小屋へと案内する。

すると、なんとそこにはデルが可愛がっていたネズミがいるではないか!

ネズミの平均寿命は2年程度。

さっきまで60年前の話をしていたので、どう考えてもおかしい。

すると、ポールは驚くことを話すのである。

ジョンに接したことによって、ネズミもポールも長寿を与えられたという話だ。

実はポールも108歳であり、ジョンに命を注がれたのであった。

そして、それが幸せなことなのか?それとも不幸せなことなのか?

それは視聴者に判断を委ね、物語は終わるのである。

 

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