※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
2016年公開のメガヒット。2週間で100億円の興行収入は納得の数字である。
メインとなる「アイディア」に2つも3つもスパイスを加え、視聴者の想像と期待を繰り返し表現していく。
前半部分では「入れ替わり」をコメディタッチで描き、「入れ替わり」がストップする後半部分からは、切ないラブストーリーへと変化する。
前半で徹底的に主人公2人の性格を演出してくれるおかげで、後半はもうボロ泣き必須。
田舎育ちで都会に憧れる「三葉(みつは)」と、都心に住む今風の高校生「瀧(たき)」。
2人のコントラストが見事で、惹かれあう理由の演出も素晴らしい。
例えば、瀧が三葉になった時、同級生のいじわるに正面から向かっていく。
これを、もとに戻った時に友達から聞くのである。
逆に、三葉が瀧になった時はバイト先の先輩への対応など、飾らない自然な優しさで他人と接することができる。
お互いが間接的にお互いを知り、自分には出来ないことをやってくれることに、惹かれていくのである。
こんな感じで進むラブストリーか、と思っていると突然ストーリーが展開していく。
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入れ替わりしなくなる
入れ替わりにより、2人の関係が近づいてきたと思っていたら、急に入れ替わりが終わる。
1週間に数回のペースだった入れ替わりが、もう出来なくなってしまったのだ。
「何かあったのか?」と感じた瀧は、覚えていた三葉の住む地域を思い出しスケッチをする。
そのスケッチを元にミツハを探すことを決意するのだった。
糸守町の変わり果てた姿
ようやく辿り着いた糸守町であったが、なんと3年前に隕石が直撃したことで町が消滅していたのだった。
事故の様子を詳しく調べる瀧。
被害者の中には「三葉」の名前もあり、ついこの間まで入れ替わっていたのに、どうしても信じられず一人で山上にある御神体へと向かうのだった。
3年間のズレ
御神体へ到着し、入れ替わった時に奉納した「口噛み酒」を飲む瀧。
入れ替わりは3年間のズレがあったことを知る(思い出す)のだった。
実は3年前に電車の中で三葉に話しかけられていたのだ。
瀧が手首に巻いている組みひもは、その時三葉が渡したものだったのである。
御神体の外縁ではじめて出会う2人
隕石による被害を食い止める為に、瀧はもう一度三葉と入れ替わる。
友達と協力し、山火事を起こし、皆を非難させるのだ。
その途中、三葉と会う為に御神体へ向かう。
最初は声しか聞こえなかったが、御神体の外縁ですれ違った瞬間。
お互いをはじめてみることができた。
ただし、それはカタワレ時のみであり、カタワレ時が終わると元に戻ってしまうのである。
2人はお互いの名前を忘れないように、手のひらに名前を書くのであるが、三葉が瀧の手のひらに書いた瞬間、カタワレ時が終わり、元の世界に戻ってしまう。
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三葉の手の平に書いた「好きだ」の意味とは?
隕石からみんなを守るために翻弄する三葉。
疲れ果て、途中で転んでしまい、諦めかけたその時。
瀧の名前を思い出そうと、手のひらを見てみると・・・
そこに書いてあったのは瀧の名前ではなく「すきだ」という文字。
瀧は自分の名前よりも「気持ち」を残したかったのである。そして、それが名前よりも先に伝えたかったことなのだ。
そして三葉は、この文字に励まされ、また立ち上がるのであった。
余韻を残すラスト
隕石落下から8年後。
瀧は就職活動の真っ最中であった。
三葉のことも忘れ、なぜ隕石落下の事故に興味をもったのかも忘れてしまっている。
ただ、漠然と「誰かを探している」という感覚だけがある。
そんな時、電車に乗っていると対向車に三葉が乗っていることに気づく。
この時三葉という存在は忘れている。そして三葉も瀧を忘れている。
しかし、2人は「誰かを探している」という感覚から、すぐに下車しお互いを探す。
対面し、最初はそのまますれ違うのだが、振り向きかえり、映画のタイトルを囁くのであった。
時空を超えるラブストーリは非常に魅力的であり切ない。
それを完璧なストーリーで演出した本作は、メガヒットも納得の完成度である。
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