※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
声優の豪華さにまず耳が向かってしまう作品だが、映像のクオリティも高い。
太っちょのパンダがカンフーの達人(龍の戦士)となって敵役をやっつけるというコンセプトも面白い。
とてもユニークな世界観で、どんどん引きずり込まれていく。
また、カンフー映画で最も重要なテイストである「師匠と弟子」という構成も、しっかりとツボを押さえている。
ただ、1つだけ共感しづらい部分がある。
それは敵役タイ・ランが、あまりにも可哀想なのである。
スポンサーリンク
タイ・ランがかわいそうで、物語に共感できない
タイ・ランは最大の敵役なのだが、凶暴な風貌が唯一「敵キャラだなぁ~」と認識できるだけで、その背景や過去はあまりにも切ない。
というのはこのタイ・ラン、赤ちゃんのときに捨てられ、老子に拾われて育ったわけだ。
老子も最初はタイ・ランを可愛がり、実の息子のように育てた。
その甲斐あって、強くたくましく育ったタイ・ランを老子は「龍の戦士」に薦めたのだ。
しかし、老子の師である道士はそれを認めなかった。
タイ・ランは老子の期待に応えたくて一生懸命に修業をしたのに、見捨てられてしまったのである。
「オレは、あんたの誇りになりたかったんだ」とタイ・ランは回想する。
これを聞いて、敵役として「倒すべき相手」と感情移入できるか?
できないでしょう・・・
それなのに、「ぽっと出」のパンダは龍の戦士に選ばれ、修業の期間も短いのに「強い正義の味方」に君臨するのである。
さらに老子からの寵愛も受ける。
タイ・ラン可哀想すぎる・・・
しかも、最後はパンダに粉々にされてしまうし・・・
当ブログでは「カンフーパンダ タイラン かわそう」というキーワードからのアクセスがめちゃくちゃ多いです。
それだけ「心ある人」が多くて本当に安心しています(笑)
あなたも「タイラン かわいそう」というキーワードで訪問されたと思いますので、とても優しい方なのでしょう。
その気持ちをずっと大切にして下さい(笑)
タイ・ランのラストはダースベイダーにすべきだった
この様に同情する余地が多いタイ・ランの扱いの悪さが、この映画があまり評価できない点だ。
あんなラストなら、もっと同情できなほど酷い悪党にしなければならない。
また、タイ・ランをあの様に描くなら、最後に改心してハッピーエンドにする必要があった。
師匠に裏切られ、何十年も投獄されて、最後は意味不明の「指固め」で爆発。
子供がこの映画に何の疑問も持たずに「楽しい」と思ってしまったら「ぞっ」とする・・・
幼い頃のタイ・ランは可愛かったし、ダースベイダー的な立ち位置として復活してくれなきゃ報われない。
ラストの「指固め」の真相もわかりづらいし、敵役に情が向かってしまうことなど、ちょっと中途半端な作りで私はこの作品を好きにはなれなかった。
スポンサーリンク