※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

日本人作家の桜坂洋が原作を書いた「オール・ユー・ニード・イズ・キル」。

基本的にはSF作品だが、その設定が独特で面白い。

舞台は近未来。

『ギタイ』と呼ばれるエイリアンに地球は侵略されてかかっていた。

『ギタイ』は戦闘力が高く、めちゃくちゃ強い。

人類は戦闘用の機動スーツを開発し、ギタイに対抗しようとする。

そんな中、主人公であるトム・クルーズは臆病で軟弱なキャラ設定。

報道官であり、少佐という立場であったが、戦闘から逃れたいがために行ったことが裏目に出て、将軍から地位を奪われ歩兵として戦闘に加わることになってしまった。

トム・クルーズはJ部隊というグループに配属され、すぐに戦場に駆り出されることになってしまう。

 

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タイム・ループ

機動スーツや武器の説明もなしで敵地に送り込まれてしまうトム・クルーズ。

戦況は劣勢で、ギタイにどんどん殺されていく。

この戦闘の迫力は凄い。

圧倒的なギタイの力に絶望し、勝てないと悟ったトム・クルーズは自爆の道を選ぶ。

近くにいた青白く光るギタイに向かって自爆をするのだった。

しかし!次の瞬間、なんと出撃前に戻っているではないか!

そして、また戦場に向かい、戦死すると、出撃前に戻る・・・

ここで、戦死するとタイム・ループすることに気付くのである。

 

リタを守り活路を探す

タイム・ループによって、敵の攻撃パターンなどを学習していくトム・クルーズ。

味方の英雄である「ヴェルダンの女神」という異名をもつリタ・ヴラタスキ(エミリー・ブラント)を守り、勝機を探していくのだった。

そして、そのリタも以前タイム・ループを経験しており、その原因とルールを徐々に突き止めていくのである。

 

最終的には愛の物語

この映画の素晴らしいところは、SFアクションでありながら、タイム・ループを利用したラブストーリーにした点だ。

リタを守る過程において、お互い恋愛感情が生まれていく。

トム・クルーズは何度もリタを守り、地球を救おうとするのだが、リタからみれば、たった1回の出来事なのである。

しかし、タイム・ループの経験があるリタは、そんなトム・クルーズの努力や愛情を必死に理解しようとするのだ。

何千回と繰り返すトム・クルーズ。

そして、1回で理解しようと頑張るリタ。

途中で、リタを救えないことが何回もある。

味方(戦力)としてのリタの想いと、愛情としてのリタへの想いを見事に表現するトム・クルーズ。

そして、それを何度も繰り返すことで、冒頭の軟弱な人間性を脱却し、「ヴェルダンの女神」にも負けない勇気ある人間に生まれ変わるのだ。

 

(こんな表情ができるのはトム・クルーズしかいない!)

 

ギタイを倒す目的の他に、こういったラブストーリーを挟むことで、物語もより立体的となり、ラストに2人が出会うシーンに胸を打たれるのである。

何千回も死闘を経験し、人類を救ったラストのトム・クルーズと、時系列的には同じである冒頭のトム・クルーズ。

死闘を潜り抜け、リタの安否を確認し、何とも言えない表情を見せるトム・クルーズの演技に脱帽するしかないのである。

 

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