※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
スタンドバイミーは30年以上も前の映画だが、この作品が上映していた頃を今でもよく覚えている。
ちょうど主人公たちと同じくらいの年齢だったボクは、この超有名なテーマ曲に一撃でKOされた(笑)
ただ、小学生低学年だった当時、この映画の良さは正直わからなかった。
というより、全然面白いと感じなかった。
それが30年以上経った今観ると、涙がでるほど良い作品に感じるから不思議だ。
スタンドバイミーが上映していた当時の景色や匂いをはっきり覚えているし、その頃付き合いのあった友達との思いでも鮮明に覚えている。
この作品のように、泥だらけで遊んだものだ。
しかし、この映画のように中学に入るとほとんど付き合いもなくなるから不思議だ。
もちろん、学校が別々になってしまったり、色々な原因があるだろうが、お互い別の友達を作り、新しい生活をはじめていく。
少年時代とは、そんな切ない時期なのだが、スタンドバイミーのラストで胸を打たれる文章が表示される。
「12歳~13歳の時の友達を、超える友達は一生作れない」
なんだ、この胸をえぐられるような文章は!
そう、あの頃の『少年と大人の間』で過ごした友達を、大人になって作るのは不可能だ。
この一言をラストで観る度に、当時の記憶がよみがえり、胸が締め付けられそうになる。
あれほど青春をともにしたのに、なぜ疎遠になっていくのか?
中学になると、進路や家庭環境など、複雑な要素が絡んでくる。
そういった要素、そして恋愛なども影響し、自然に離れていってしまうのである。
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スタンドバイミーは一言でいうと『友情物語』だ。
仲の良い友達4人で死体を探しにいく冒険だ。
この冒険は2日間程度なのだが、このたった2日間で少年はそれぞれ大人になっていくのである。
12歳~13歳という年齢は、まさにこういった短い期間で、一つのきっかけで大人に変わる。
普段は喧嘩もする4人だが、外部の大人(スクラップのおやじ)から心を傷つけられたら、みんなで一生懸命かばい慰める。
将来についてのアドバイスや、家庭での悲しい立場など、自分なりに相手を察して励ましたりする。
それぞれ家庭環境もことなり、子供ながら表には出せない悩みもある。
その悩みを共有し、分かち合うことで、大人になっていくのである。
物語のはじめは、死体をみつけだしテレビにでたり、有名になることが目的だった。
しかし、2日間の短い旅によって、そういったフワフワしたものではなく、しっかり将来について見つめていくのである。
1つの出来事によって同じタイミングで成長する仲間。
確かに、このような仲間は大人になってからは作れないのである。
携帯電話もパソコンも出てこない、ひたすら旅の風景が美しい。
そして、少年たちの友情は、それに勝るほど美しいのである。
これほどノスタルジックを感じさせてくれる映画は、もう出会えないであろう。
そして、出演者たちと同じ年頃にリアルタイムで観られた奇跡に、ただ感謝するしかない。
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