※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
人類初、月への有人宇宙飛行計画である『アポロ計画』。
当時の大統領であるジョン・F・ケネディが「1960年代中に人間を月に到達させる」という目標を掲げたのだ。
スマホも、パソコンもない時代にこれを目標にすること自体がアメリカの行動力なのだろう。
各企業や、大学生なども計画に加わり、ピーク時には40万人の従業員を雇用したと言われている。
まさに、国が一つになって行った大偉業だ。
そして計画から9年後、1969年に人類はついに月面着陸を果たし、月を歩くことに成功するのであった。
その初めて飛行船が「アポロ11号」である。
船長のニール・アームストロングが語った「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。」は、あまりにも有名な名言である。
そして、次の「アポロ12号」も成功した。
しかし、その次の「アポロ13号」は月に到着間近で酸素タンクが爆発し、非常に危険な状態となってしまった。
助かる可能性が低い中、乗組員と管制センターの知恵と諦めない信念を描いた感動のドラマが『アポロ13』なのである。
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メディアの扱いが興味深い
あれだけ全世界で盛り上がった月面着陸であったが、アポロ13号になると世界的にも「マンネリ化」してくる。
なんと、乗組員はカメラで宇宙中継をしているのだが、放送されているのは宇宙センターだけ。
どのテレビ局も中継していないのである。
「今や月旅行は、国内旅行と変わらない」という理由で、どのテレビ局も興味を示さなくなったのだ。
この事実を知らない乗組員の3人は、陽気に宇宙船の説明などをしている。
また、作品の主人公ジム・ラヴェル(トム・ハンクス)の母も、老人ホームでテレビ中継が始まらないのでガッカリしている。
この様に、宇宙飛行への興味が低くなっている背景が、この映画の怖い所であり、人間の不思議な所だ。
あれだけ国を上げて盛り上がっていたのに、2回、3回と繰り返すともう飽きてしまう。
まるで、子供がおもちゃをスグに飽きてしまうようだ。
しかし、アポロ13号が危機的状況になるとメディアは一変する。
手の平を返すように、一斉にアポロ13号を報じるのだ。
エドハリスが絶妙
管制センターのジーン・クランツ主席管制官を演じたエドハリスの演技が素晴らしい。
危機的問題に対して、冷静に皆をまとめようとする姿は、とても臨場感がある。
恐らくジーン・クランツ本人や、当時のその他のスタッフに入念なリサーチをしたのであろう。
緊迫感や、無事に帰還させるという強い意志がしっかり伝わってくるのである。
徹底したリアリティ
アポロ13号の打ち上げシーンや、船内の再現性、そして事故のデティールなど、細かい所もリアルに描かれている。
どんな事態となって、どんな解決方法があるのか?
これを次から次へ繰り返していくようすは、まさに緊張の連続である。
大気圏再突入の時に電力残量が不足していたり、侵入角度の問題など、ギリギリの所で問題解決を行っていく。
ラスト、パラシュートを開きながら帰ってくるアポロ13号の姿に「おかえりなさい」と心で呟きたくなるのである。
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