※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

銃撃戦・爆破シーン・カーチェイス・アクションシーン、これらがなくてもハラハラドキドキすることを証明した素晴らしい作品が『ザ・ウォーク』である。

なんだ、この緊張感は!?

たまにテレビで特集もやっているので、結末もしっているはずなのに、手から大量の汗がでてくる。

とんでもない臨場感だ。

ニューヨークの超高層ビル、ワールド・トレード・センターの屋上に綱を貼って『綱渡り』をする。

もちろん違法行為であり、誰にも気づかれずに準備をしなければならない。

なので、メインである『綱渡り』の前の準備段階から緊張の連続であり、ラストの綱渡り以外も十分楽しめるようになっている。

練習のときに失敗するシーンをあえて視聴者に見せたり、ワイヤーが切れるリスクを強調したり、成功するとわかっていてもスリリングだ。

ただし、臨場感が半端ではないので、高所恐怖症の方は注意が必要だ(本気で)。

 

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あらすじと感想

1973年、無名の綱渡り師フィリップ・プティは偶然みた雑誌にインスピレーションを受ける。

それは、世界一高いビル「ワールドトレードセンター」が完成間近という記事だ。

綱渡りの理屈は本人でないとわからない。綱渡りをやったことがないボクらには理解できない世界なのだ。

また、この雑誌を読むシーンで歯医者を利用する。

こういったセンスも素晴らしい。

偶然立ち寄った本屋だったら興ざめである。

たまたま歯が痛くなり、たまたま行った歯医者の待合室で、たまたま見た雑誌に衝撃を受けるのである。

このリアリティの描き方があるからこそ、後半の綱渡りの臨場感を生み出せるのである。

 

『ワールドトレードセンターで綱渡りをする』という目標ができたプティ。

しかし、当然一人では無理だ。

ワイヤーの準備や、作業員を装ってビルの屋上へ行ったり、仲間が必要となる。

また、ワイヤーが切れないよう、権威からアドバイスをもらう必要もある。

こういった準備を行い、決行するのであった。

 

高所恐怖症の仲間ジェフ

仲間の一人ジェフは、高所恐怖症である。

これが実に素晴らしい味を出す。

すべてプティの目線になると、視聴者も感覚がマヒしてきてしまうのだ。

プティはビルの屋上でも黙々と作業を進める。

当然だが、プティには恐怖を演出してはならないからである。

そこで重要になるのがジェフだ。

ジェフが高所恐怖症のおかげで、高層ビルの恐怖がリアルに視聴者に伝わるのである。

「落ちたら確実に死ぬ」

プティだけの視点になると、この恐怖が薄れてしまうのだ。

そのバランスを見事に演出したプティというキャラは、この映画に必要不可欠な要素なのである。

 

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謎の男

ビルの屋上にうまく忍び込み、ワイヤーの準備も完成間近。

そんな時に、なぞの男が登場する。

この出来事は本当にあったようで、いまでも誰かは謎のままだという。

この謎の男は、プティたちを見て驚く様子もなく、静かに立ち去るのだ。

このアクセントも素晴らしい。

最後の最後まできて、いよいよ中止か?とドキドキしてしまう。

なぜ屋上に現れ、何も言わずに立ち去ったのか?

興味深い出来事だ。

 

 

警備員の見回りが絶妙

ビルの屋上で準備を進める中、もし警備員にみつかったら当然アウトだ。

だからこそ、真夜中の闇のなかで作業を進める。

もう一つのビルの上には仲間のジャンがいて、有線トランシーバーでコミュニケーションをとっていた。

トランシーバーは当然スピーカーがついているので、声が響く。

そんな中、夜中の見回りで警備員が屋上にやってくる。

作業をとめて隠れるプティとジェフ。

ここでトランシーバーが映し出される。

もし、ジャンからトランシーバーで連絡が入ったらアウトだ。

切り抜けられるか?!とドキドキするなか、なんとトランシーバーが鳴ってしまう!

しかし、それは警備員の無線であったのだ。

こういったハラハラドキドキの演出は見事だ。

綱渡りをする前から一瞬も安心できないのである。

 

 

緊張感の連続

実話をもとにしているが、細かいシーンは多少誇張していると思われる。

この映画の見どころは、綱渡りも凄いが、やはりその準備のデティールだろう。

ワイヤーを準備するシーンなどを細かく丁寧に描くことで、主人公が綱渡り中、唯一頼れるものであるワイヤーの重要性をしっかり表現しているのだ。

「もし、ワイヤーが切れたら?」

こういったイメージも視聴者の頭にインプットさせ、綱渡りの途中に起こるアクシデントをどんどん想像させていくのである。

この様に、綱渡り中に、実際の映像とは別のことを頭に想像させ、スリリングさを倍増させているテクニックはお見事。

緊張感の連続で、一瞬も気が抜けないので、とても疲れる映画なのだ(笑)

 

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