※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
1966年から放映されていた大人気テレビドラマ「スパイ大作戦」。
これの映画化がついに決定ということで1996年当時は、かなり期待も高まっていた。
しかも、主役がトム・クルーズで、監督はブライアン・デ・パルマ。
そして音楽を担当したのがU2のアダム・クレイトンとラリー・ミューレン。
あの「ミッションインポッシブルのテーマ」がロックにアレンジされていて、めちゃくちゃカッコイイ。
当時、高校生だったボクは、このサントラCDを買ったのを今でも覚えている。
この様に、公開前から「ミッションインポッシブル」は注目されまくっていたのである。
そして、その完成度は期待通りであり、至福の110分を過ごせるのである。
110分という丁度良い上映時間。
アクションに偏らないストーリー展開。
スパイ活動のドキドキ感。
黒幕の意外性やサスペンス的要素。
そして絶妙な音楽。
『スパイ大作戦』のコアとなる部分をしっかり継承し、制限あるなかでバランスをとったブライアン・デ・パルマの手腕は見事である。
これだけのキャストや予算が使えたら、普通はド派手なアクションエンターテイメント作品にしてしまうだろう。
しかも『スパイ大作戦』というブランドを超えるプレッシャーもある。
しかし、そういった方向性へ逃げず、あの『質感』を出せたのはもはや奇跡だ。
2作目からは残念ながら、アクションの多用、爆発シーンの多用、流行りの音楽、と『スパイ大作戦』の本質から離れ、エンターテイメント色が強くなってしまった。
『スパイ大作戦』という看板から目を背けずに、シリーズの基盤を作ったブライアン・デ・パルマに拍手を送りたい。
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あらすじと感想
なにやら動揺している男(ロシアの秘密工作員)がいる。
そして、ベットには売春婦らしき女性が血を流して死んでる。
部屋にはもう一人男がいて、売春婦の関係者のようだ。
そして、何やらモニターから支持を出す人物もいる。
「早く情報を吐かせろ」と焦っている様子だ。
動揺している男に情報を聞き出すため、少し手荒になっていくもう一人の男。
そして、混乱している中、ついに情報をしゃべり出すのである。
情報を聞き出したら、注射でその男を眠らせ、同時に部屋が解体されていく。
その部屋は、なんと情報を聞き出す為に作られた部屋だったのだ。
そして、聞き出していたのは変装していたイーサン・ハント(トム・クルーズ)。
仮死状態にされていた売春婦に変装したクレア(エマニュエル・ベアール)を救い、任務完了!
スポンサーリンクこの冒頭の数分だけで、チームの役割やキャラ設定をスムーズに視聴者に分からせるのである。
「変装」・「クレアへの想い」、これがラストの伏線にもなり、様々な効果を冒頭だけで生み出しているのである。
飛行機の中にシーンが変わり、チームのボスであるジム・フェルプス(ジョン・ヴォイト)が登場する。
女性客室乗務員に映画を勧められディクスを渡される。
すると、そこには次の任務の指示が表示されたのである。
ここで、チーム(イーサンなど)、ボス(ジム)、IMF(極秘諜報部隊)の関係性などが演出される。
IMFからの任務は、裏切り者『ゴリツィン』がCIA情報員リストを盗む瞬間を証拠として収めることであった。
イーサンのチームは変装や、ハッキングによって、任務を進めていた。
しかし、何者かによって、チーム全員が殺されるという展開になってしまうのだ。
当然、一人残ったイーサンが怪しまれる。
「誰がこんなことをしたのか?」濡れ衣の容疑を晴らすため、イーサンが真犯人を探し出すストーリーとなる。
聖書でジムが犯人だとわかる
真犯人は武器商人「マックス」とCIA情報員リストの交渉をしていた。
その手がかりとなるのがマックスの作戦名「Job3-14作戦」である。
そして、jobが聖書のヨブ記と気づき、マックスと連絡が取れるようになる。
この様に、聖書がキーポイントとなるのだが、シカゴ ドレイク・ホテルのスタンプが押された聖書により、ジムが真犯人だと気づくのである。
プラハの任務の前に、ジムは「シカゴのドレイク・ホテルに泊まっていた」と言う。
マックスとの連絡をするときに聖書を引用するため、ドレイク・ホテルにあった聖書を持ち帰っていたわけである。
それがアジトにあり、パソコンもあるということは、ジムがマックスと連絡をしていた可能性が非常に高いというわけだ。
ただ、ここの演出は非常にわかりにくい(笑)
ブライアン・デ・パルマは、こういった最も重要な場面をあえて解りにくくするクセがある。
特に、聖書に馴染みがない日本では、ちょっと解釈も難しかったかもしれない。
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伝説のラングレー潜入
本作品一番の見せ場が「ラングレー潜入」であろう。
マックスと取引をして、真犯人を見つける為に、CIA情報員リストを盗む計画を実行する。
その仲間がジャン・レノとヴィング・レイムス。
この2人が実に良い味を出す。
ヴィング・レイムスはハッカー役。
ジャン・レノがイーサンのサポート役。
まずは、消防員を装ってラングレーに潜入。
そして、CIA情報員リストのデータが入ったパソコンがある部屋を目指す。
この部屋は3つのセキュリティがある。
音・重力・温度
管理人が席を外すと、この装置が作動する。
つまり、管理人以外、絶対に誰も入れないのである。
まさにミッション・インポッシブル!(任務遂行不可能)
しかし、これをやり遂げようとするのである。
まず、天井のエアコンのダクトから部屋へ潜入するイーサン。
身体能力を活かし、見事にデータをフロッピーにコピーすることに成功。
しかし、途中でジャン・レノが苦手なネズミが出てきたり、管理人が戻ってきたり、銃撃戦も、爆破シーンも使わずハラハラドキドキを味わえる演出はお見事。
トムクルーズの紐で吊るされた状態からのアクションは、相手がいない様な、たった1人の演技でもシチュエーションによって十分楽しめることを証明したのである。
ラストの列車は迫力満点
ラングレー潜入から、マックスと取引をする為にパリ行の列車に乗り込むイーサン。
ここでは、イーサン、ジム、クレア、マックス、IMFなどなど、一斉に集結する。
イーサンがジムに変装し、クレアの真相を聞き出す。
また、イーサンの信頼できる仲間ヴィング・レイムスは、マックスがCIA情報員リストをアップロードできないように妨害電波を出す。
しかしIMFが来ることで、隠れなければならず、マックスのアップロードが進んでしまう。
ジムはクレアを殺してしまい、逃亡を急ぐ。
列車の上空からは、ジャンレノが運転するヘリコプターがジムを援護する。
この列車の屋根の攻防は見応えがある。
とにかく風の迫力が凄い。
爆発ガムでヘリから列車に飛び乗るラストは爽快。
この列車の中で繰り広げられるサスペンスや、屋根でのアクションは、スパイ映画の代名詞として今後も語り継がれるであろう。
スパイの要素をしっかり取り入れ、アクションに逃げず、濃厚なサスペンスに仕上げた超傑作映画だ。
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