※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
ハリウッド映画の場合、やはりヒットのテンプレートというのは存在する。
必要不可欠な要素は「ラブストーリー」である。
どこかに必ず恋愛の要素が入り込むのである。
しかし、この『ミッドナイト・ラン』は「ラブストーリーなんて関係ねぇ」と言わんばかりに男しか出てこない(笑)
まずは主人公ジャック・ウォルシュ(ロバート・デ・ニーロ)。
ジャックは一匹狼の賞金稼ぎ。
そして、賞金首であるジョナサン・マデューカス『デューク』(チャールズ・グローディン)。
依頼主である保釈金の金融会社の2人。
FBI捜査官であるモーズリ。
ギャングのボス、セラノ。
そして、ジャックと同様、一匹狼の賞金稼ぎマービン。
この様に、主要なキャラは全員男であり、これが最高に面白いのである。
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複雑な人間関係も、さらっと進む秀逸な脚本
この様に、男ばかりが登場する映画だが、実は人間関係は複雑。
それぞれ、様々な関係性があり、お互いの利害関係を頭に入れておかないと話が分からなくなってしまう。
しかし、そこは脚本のマジック。
これだけ複雑な利害関係も、頭にスッと入ってくるから凄い。
・金融会社との関係
・FBIとの関係
・ギャングとの関係
・マービンとの関係
これらが複雑に交差するのが、それを見事に一本に回収していく。
男の友情に流行り廃りはない
この映画1988年に公開され、30年以上経つことになる。
しかし、男の友情という普遍のテーマなのか、今みても全然古くない。
主人公のジャックと、賞金首のデューク。
この2人が喧嘩をしながら、どんどん友情を深めていく物語なのである。
賞金稼ぎで生計をたて、ゆくゆくはカフェを経営する夢を持つジャック。
そこへ賞金稼ぎの依頼が入る。
デュークは優秀な会計士だが、顧客が麻薬王セラノだと知ると、その資金を横領し慈善事業に寄付をしてしまう変わり者。
デュークの保釈金を払った金融会社だが、デュークは危険を感じ身を隠すことに。
このままデュークが見つからないと、保釈金を捨てたことになってしまう金融会社は、ジャックにデュークを捕まえてくることを依頼するのだ。
そして、裁判まで5日間しかなく、それまでに捕まえてこなければならないのであった。
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迫力のあるアクションシーン
CGもない時代で、かなり迫力のあるアクションシーンが楽しめる。
カーチェイスはもちろん、小型飛行機ではデニーロのスリリングなアクションが堪能できる。
また、列車から飛び降りたり、様々な乗り物を使ってのアクションは見応え十分。
銃撃戦もあり、古き良きアメリカ映画を楽しむことができる。
ラストは爽快なハッピーエンド!
これだけ複雑な利害関係をどう収束するか?
ラストはハラハラドキドキだ。
ジャックは賞金の為にデュークを差し出すか?
また、FBIとの関係はどうなる?ギャングはどうなる?
こうした作品中に出てくる疑問を、見事に収束させるのである。
デュークの一癖も二癖もある性格に、視聴者も爽快に騙されるのだ。
賞金稼ぎという仕事に共感を持たせる為、ジャックのキャラをしっかり描いていることが素晴らしい。
そして、そのキャラ設定によって、ラストはギャングのボス、セラノと直接あう(取引)ことへの矛盾も解消している。
ジャックとデュークの『正義感』をしっかり、ねちっこく描くことで、2人の友情を固く結び、ラストのハッピーエンドに繋げるテクニックは見事である。
30年以上経っても色あせない『名作中の名作』だ。
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