※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

まったくダレずにテンポよく物語が進む『フライトゲーム』。

飛行機という密室の中で繰り広げられるアクション&スリラー作品だ。

犯人の要求は指定した口座へ1億5000ドルの送金。

これが出来ない時、機内にいる誰かを20分に1人始末していくという設定だ。

密室空間と制限時間をうまく使い、終始ハラハラドキドキする作品となっている。

状況が飲み込めない国土安全保障省にイライラし。

主人公を犯人と疑う乗客グループにもイライラし。

うまく解決できそうな時に限って、こういったイライラを展開させる技術はお見事。

「リーアム・ニーソンが一生懸命やってるんだから、皆もっと協力しろよ!」と心で叫ぶのである。

 

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「金を返せよ」というセリフの意味は?

機内にて主人公ビル・マークスと交渉や事件解決を模索したアメリカ合衆国国土安全保障省マレニック。

このマレニックが物語のラストで「金を返せよ」というシーンがある。

これは、犯人の要求である1億5000ドルをビルの口座へ送金したので、ちゃんと返してねということだ。

そして、それに対して「何のこと(笑)」とボケるビル。

事件が解決して安堵した際にでたジョークである。

 

犯人探しミステリーとしては?

機内密室と20分に1人始末されるという設定はスリリングだが、ミステリーとしてはどうか?

まず、ネタバレになるが犯人は2人いる。

ここで「え~、それってアリ?」と思う方も多いと思う。

犯人が2人である重要性や、2人でないと出来ないトリックなどはないので、あまりしっくりこないのである。

一歩譲って、2人で大きなトリックをした後、主犯格がもう一人を始末する、などの方がミステリーとしては楽しめたと思われる。

また、犯人がわかった時など、犯行を回想するシーンもないので、具体的な方法がわからず驚きもほとんどないままラストをむかえる。

この様に設定は非常によいのだが、トリックを暴くというより、アクションと時間制限によるスリルを楽しむことに重きを置かれている。

1つくらい驚くトリックがあれば、とんでもない名作になっていた可能性が高いだけに、そこだけは残念である。

 

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リーアム・ニーソンが適役

飛行機の中で繰り広げられるアクションはリーアム・ニーソンが適役だ。

限定された空間の中で、飛んだり跳ねたり走ったりする必要もなく、トイレの中でスマートに相手を倒してくのである。

これがリーアム・ニーソンがめちゃくちゃ似合う。

96時間のように、広い街中でのアクションも最高だが、機内のトイレというめちゃくちゃ狭い空間で相手とやりあう戦闘シーンも見応えがあった。

冒頭では同僚であり年齢も一回り以上若いジャック・ハモンドとトイレで戦う。

この狭い空間で見事に首を決めることで、リーアム無双の期待が膨らむである。

 

ミスリードはお見事

一体誰が真犯人なのか?

視聴者は少ない手がかりで推理していくことになる。

まず「窓際の席がいい」とダダをこねるジェン・サマーズ(ジュリアン・ムーア)の演出は素晴らしい。

最後にトイレに入っていたり、主人公の隣に座ってアリバイを作ると思わせたり、騙される(笑)

また、アラブ系の医者や、ニューヨーク市警察の警官、そして機長や客室乗務員など、怪しいキャラクターがたくさんいて推理が楽しめる。

ただ、前述したが犯人の設定はちょっと残念である(笑)

この様に、空間や登場人物も限られているので犯人探しは楽しいのだが、2人というのは避けてほしかった・・・

2人で大規模なトリックをするならわかるが、特に唸るようなトリックはなくラストは失速してしまう。

ただし、テンポのよい犯人探しとバランスよく配合されるイライラ感に、終始ハラハラドキドキが楽しめる作品である。

 

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