住野よるのデビュー作である青春小説『君の膵臓をたべたい』。

このデビュー作がいきなり累計発行部数200万部、そして映画化&アニメ化というのは素晴らしい快挙だ。

そんな小説からの映画化なのだが、映像化された作品はどうであろうか?

主人公である浜辺美波と北村匠海のコンビは、それぞれの世界観をしっかりと表現できていると思われる。

浜辺美波が演じる山内桜良は、膵臓の病気により余命宣告を受けている。

しかし、最後まで前向きに生きたいという想いから、1番の親友である滝本恭子にも言わないままでいる。

そんな中、たまたま盲腸の手術で同じ病院だった志賀春樹(北村匠海)が、咲良の日記をたまたま拾ってみてしまう。

そこで、咲良が余命わずかと知ってしまうのだ。

何でも前向きに生きようとする咲良は、それをきっかけに春樹を「死ぬ前にやりたいこと」に付き合わせるのだった。

ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの「最高の人生の見つけ方」の高校生バージョンといったところか。

 

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あらすじと感想

春樹は人と関わることを避け、1人でいることが好きなタイプ。

一方、咲良は人と関わりたいと願い、それが生きている意味だと感じているタイプ。

この男女の水と油が一緒になる過程は、なかなか面白い。

強引に九州旅行へ行ったり、同じ部屋に泊まったり、男としては羨ましい(笑)

しかし、相手が余命わずかと知っていたら、それはやはり素直に楽しむことはできないであろう。

逆に、楽しい思い出を作ってしまうと、もし亡くなってしまった後が辛すぎる。

そういった想いもあるからか、春樹は最初の方はそれほど興味を示さないようにするのである。

しかし、生きている時間の1秒でも無駄にしたくないと思う咲良は、とにかくポジティブに何でも進めていくのだ。

物語の後半になると、春樹の心は揺れていく。

それは、偶然秘密を知ったからこうして一緒にいるのだろう、という思いだ。

好意とかではなく、たまたま成り行きでそうなったんだろう、と咲良に問うのだ。

悲しい映画なのだが、ここがとにかくかわいい。

しかし、咲良は答える。

これは偶然ではなく、お互いが様々な選択をしてきた結果なのだと。

そして、この出会いは自分の意思で出会ったのだと答えるのだ。

 

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通り魔はアリ?なし?

誰とも関わらない、孤独を物ともしない春樹。

しかし、咲良に出会ったことで、もっと人と関わり、人を愛せるような人間になりたいと思うようになる。

それをメールで送りたいのだが、何を言っても言葉が足りなくなってしまう。

そこで、最後に『きみの膵臓を食べたい』と送るのだ。

これから北海道に旅行に行くのに、咲良と待ち合わせしていた場所で上記のメールを送る春樹。

しかし、待ち合わせに向かう途中、咲良は通り魔に刺され亡くなってしまうのだった。

えぇ~、やっと退院して、これから残りわずかな最後の思い出を作るのに、通り魔?

ちょっと可哀想過ぎるだろぉ~、というのを通り越してしまうほど悲劇が重なる。

これはアリか?

そりゃ、悲しい別れをすればするほど作品は感動的になる。

でも、ちょっとやり過ぎではないか?

よりによって通り魔か~・・・

う~ん、わかる。残りわずかだと思っていた命の「残り」が今かもしれないという儚さ。

これはわかる。

でも、通り魔って・・・

まぁ、フィックションなのでそのまま楽しめばよいのだが、この通り魔の展開によって、この作品の評価は大きく変わってくるはずだ。

通り魔によって、さらに感動が倍増した方。

逆に、冷めてしまった方。

「泣かせるぞ!」感が強くなってしまい、少し強引なラストではある。

それに比べ「最高の人生の見つけ方」は、こうった押しつけがましさもなく感動させるのだから凄い。

 

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