※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
暗闇に生きなければならない宿命を持つ主人公、そこへ降り積もる白い雪。
こういった芸術的な雰囲気が堪能できるのが本作『モールス』である。
学校でいじめにあっている少年オーウェンと、隣に引っ越してきた謎の父と娘。
この謎の少女アビーを演じるのがクロエ・モレッツ。
この作品のクロエ・モレッツは非常にハマっている。
毎日いじめにあい、両親も離婚協議中、人生に何の希望もない中、こんなミステリアスで魅力的な女の子が隣に引っ越してきたら、いままでの苦悩はチャラにできる(笑)
謎めいた雰囲気がよく似合っており、本作のクロエ・モレッツは物語のメインテーマである切ない哀愁的要素をすべて満たしている。
問題提起としてヴァンパイアの苦悩がコンセプトだが、恐らく何百年と変わらない容姿への哀愁などがうまく散りばめられている。
サスペンス?ホラー?と思っていると、何とラブストーリーという見事などんでん返し。
少年と、何百年も生きている少女の切ない恋愛物語なのである。
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ラストの衝撃
ラストは全てを受け入れたオーウェンがアビーと共に生きる道を選ぶ。
昼間の移動はトランクバックの中に入り、光から身を守るのである。
そして、トランクバックを叩きながらモールス信号で意志の疎通をするのであった。
オーウェンが父や母を捨て、アビーの面倒を見る覚悟をするラストは結構衝撃的だ。
ただ、その道は結局トーマスと同じ道を歩むことになるのである。
今は少年のオーウェンであるが、父親と年齢を間違えるほど年が離れてしまったトーマスを暗示させるのである。
トーマスの献身に涙する
この作品で一番感動するのは実はラストではない。
アビーの父親だと思っていたトーマスが昔の恋人だとわかる瞬間である。
物語の中では、アビーと一緒に写っている若かりし頃のトーマスを見て、その関係がわかるようになる。
そして、父親以上に献身的な姿を見せるのである。
アビーの為に猟奇殺人を行い血を集めるトーマス。
年齢からか、ミスをすることが多くなり、そんな自分に落ち込むのである。
また、アビーがトーマスと仲良くすると「嫉妬」をする。
そんな思わず同情してしまうトーマスなのだが、自分の正体がバレそうになると、自分で硫酸を顔にかけ身元不明にするのである。
何かあった時の為に、いつでも硫酸を持ち歩いていたのだ。
そして、一命を取り留めるとアビーの為に自ら首を差し出し、アビーの行為が終わると建物から飛び降り自ら命を断つのである。
置手紙には「すまないアビー」と書きこのす。
つまり、最後までアビーを愛していたのである。
このアビーへの献身により、何十年も前から一緒に頑張ってきのだなと感じ、深く感動するのである。
そして、このトーマスと同じ運命を辿るのがオーウェンであり、めちゃくちゃ切なくなるのだ。
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