※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
「R100」凄くセンスのよいタイトルだ。
「やられたー」と思う作家も多いと思う。
色々な想像ができるタイトルだ。
ただ、映画の内容に対して「やられたー」と思う作家はあまりいないだろう(笑)
大日本人の時もそうだが、松本監督は国際問題をどうも取り上げたい傾向がある。
今回もSMという観点から、日本と海外情勢を揶揄している表現がみられる。
これはもう大日本人で終わりにしてほしかった。
海外に対して、S的な日本、M的な日本、その交わる中途半端な部分など、「オチ」として笑いに変えたかったのだと思う。
アメリカに対して、ずっとM的な姿勢をしていた日本だが、結局はS的な方向性があったり、それを上からバカにするような感じで、ちょっと冷める。
大日本人は大好きだが、もうこの手の表現はいらないと思う。
言いたいことをストレートに言うのは恥ずかしいので、クライマックスで混沌として隠しながら本音をつぶやく・・・
まさにボンテージに身を包んだSそのものだ。
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官能的な映像美
夜中のメリーゴーランド、この冒頭シーンに期待が膨らむ。
ここからSMクラブに入会し、どんな展開が待っているのか?
序盤はエスカレートしていくS女の仕掛けにワクワクした。
この辺も、大日本人の「獣」と同じで、次はどんな獣が出てくるのか?という期待と裏切りの見事なハーモニーを奏でてくれる。
唾液の女王くらいから急に失速する。
狙い通りかもしれないが、急にチープな流れに進んでいくのである。
混沌とさせないと気が済まないのですかね?
SMクラブのリアリティにどっぷり入りそうになった瞬間、目を覚まさせるようにファンタジーに突入する。
このシュールな展開にハマる人はハマり、ハマらない人は徹底的にハマらないのである。
快楽時の表情
主人公(大森南朋)がM的な快楽を得たときに、なんともいえない顔になる。
これは凄いアイディアだ。
ベテラン俳優に快楽の表情を作らせるのではなく、CGで快楽の表情を表現する。
このアイディアはどこから来たのか?
以前、「松本人志の○○な話」で人を殺めたことがある人物は目がうつろになる、という話があった。
土方歳三の写真を見ながら、このような目になる、と解説していた芸人がいた。
ボクはこの話を覚えていて、一線を越えた経験がある人は、なぜか目がトロ~ンとうつろになる、ということが印象深かった。
その辺にインスピレーションを受けたのだと思う。
大森南朋が、何ともいえないような顔になるのは、実に印象的だ。
という感じで、シュールで見どころも多いR100だが、最初から「わかりやすい映画」に中指を立てている監督なので、意味不明はご愛嬌だ(笑)
わかりやすい解釈はないので、そういった監督のクセを好きな人だけにオススメしたい。
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