※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
この映画はクセが強いのだが、明確な意図はそれほどないと思われる。
監督であり、脚本も担当したナチョ・ビガロンドは低予算で怪獣映画を撮りたかったとインタビューで答えている。
その為に、怪獣は登場するが、それほど長いシーンを作らずに制作費を浮かせたのだそう。
怪獣の登場シーンを減らす為に、遠くの国に出現させ「シンクロ」というコンセプトになったようだ。
ただ、こういったシンプルなコンセプトをいかにも「意味深」に演出した点が素晴らしい。
これを見て、「あれの意味は○○」とか「あれは○○を表している」とか、アン・ハサウェイの自虐映画だとか考えを膨らませるのである。
ちなみにアンハサウェイは製作総指揮ではあるが、9人いる製作総指揮の一人であり、出資者ではないので、当然アンハサウェイの自虐映画というのは無理がある。
あくまでも脚本に対して、スランプ状態であった自分を重ねただけである。
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あらすじ
主人公グロリア(アン・ハサウェイ)はライターであったがクビとなりアルコール依存症となっていた。
恋人のティム(ダン・スティーヴンス)と暮らしていたが、度重なる朝帰りや、ティムが仕事にいっている間に酒飲み仲間を部屋に入れたりダメ女である。
そして、ついに恋人ティムも愛想を尽かし、グロリアをアパートから追い出すのであった。
行くあてのないグロリアは、実家に帰るのである。
そこで偶然、子供の頃の友達であるオスカー(ジェイソン・サダイキス)と再会する。
オスカーは父が経営していたバーを継いでいて、1人のグロリアに対して何かと親切にしてくれる。
そんな中、職のないグロリアを気づかい、バーで働いてもらうことになる。
しかし、アルコール依存症のグロリアはさらに悪化させていくのである。
仕事が終わった後も飲み、ふらふらで帰宅する毎日。
そんなある日、韓国に怪獣が出現するようになったのである。
そして、その怪獣の動きと自分の動きがシンクロしていることに気づくのであった。
感覚的に観る映画
遠く離れた場所に出現した怪獣と、人間がシンクロしたら当然面白い。
ダンスをしたり、地面に文字で謝罪したり、新しい怪獣の表現方法である。
しかし、敵対する相手も必要になる。
そこで、オスカーがロボットとシンクロすることになる。
オスカーが狂気に走り、韓国の町を破壊していく。
それを止めるグロリア、という構図になる。
そして、オスカーの狂気に走る理由の説明が描かれていく。
オスカーをブン投げるラストは面白い
オスカーが自暴自棄から暴挙に出る中、グロリアは韓国へ向かう。
すると、なんと韓国側からオスカーがいる場所に怪獣をシンクロさせるのである。
そして、オスカーを捕まえるグロリア。
捕まえたオスカーをどうするのか?食べるのか?踏み潰すのか?
答えは・・・ブン投げる(笑)
メタファーとしてオスカー=オスカー像(アカデミー)だと思われる。
アンハサウェイは、『レ・ミゼラブル』でアカデミー助演女優賞を受賞したタイミングでバッシングを受けるようになった。
映画「レ・ミゼラブル」の感想・ネタバレ(90点)アンハサウェイの歌唱力には秘密があった
この授賞式でのスピーチやドレス、表情などが視聴者の癇に触ったのである。
基本的に単なる妬みなのだが、ネットではアンハサウェイの炎上で盛り上がってしまうのだ。
評論家からは「オスカー狙いがバレバレ」など中傷をされた。
恐らく、この辺とオスカー像をブン投げるというラストに繋がるのだろう。
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