※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

『アメリカンハッスル』は、1970年代にアメリカのニュージャージー州で実際に起きた収賄スキャンダルを元に制作された映画だ。

汚職政治家を捕まえるために、FBIが詐欺師と協力して大規模な捜査を計画する。

政治家が逃げ切るか?

FBIが上手く詐欺師を利用するか?

詐欺師が一枚上を行くか?

それぞれが騙し合う展開に、最後まで目が離せないのである。

そして、目が離せない最大のポイントは主人公である詐欺師のアーヴィン・ローゼンフェルド(クリスチャン・ベール)を取り巻く女性だ。

アーヴィンには妻と愛人がいる。

この2人の女性によって、計画がどんどん変な方向へイレギュラーしていくのが引き込まれていくポイントだ。

計画がうまく進んでいるとおもうと、妻の暴走で危険になる。

それが落ち着くと、愛人のシドニー・プロッサー(エイミー・アダムス)がFBI捜査官リッチー・ディマーソ(ブラッドリー・クーパー)と本気に仲になりそうになってしまう。

そして、機転を利かせうまく進めていくと大物マフィアであるヴィクター・テレジオ(ロバート・デ・ニーロ)が出てきて、計画がバレそうになる。

この様に、エンディングまでまったく予想できず、そして飽きずに楽しむことができる。

 

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詐欺師アーヴィン役のクリスチャン・ベール

主人公の詐欺師アーヴィン・ローゼンフェルドはクリスチャン・ベールが演じている。

クリスチャン・ベールといえば、ダークナイトのバットマンだ。

あの丹精な顔立ち、そして見事な筋肉でめちゃくちゃカッコイイ役者だ。

しかし、本作ではなんと!

ハゲ&デブとなっている。

キャストを確認しないで、この映画をみたら「誰やねんコイツ!」となるほどだ。

ハゲについては、特殊メイクのようだが、肥満はなんとわざと増量したようだ。

『マシニスト』では、不眠症役を演じる為に30キロの減量をし54キロとなり、その後の『バットマン ビギンズ』ではまた86キロまで戻したようだ。

凄まじい役作りである。

本作の詐欺師役は、従来の気取った詐欺師というより、ハゲ&デブによってどこか憎めない役となっていて、すぐに感情移入することができる。

アカデミー賞の主演男優賞には当然ノミネートされたが、この年は『それでも夜は明ける』が独走状態となり、この過酷な役作りも残念な結果となってしまった。

 

FBI捜査官役のブラッドリー・クーパー

詐欺師アーヴィンを捕まえるFBI捜査官リッチー・ディマーソを演じるのがブラッドリー・クーパー。

本作では1970年代に流行ったチリチリパーマで決めている。

このパーマがめちゃくちゃ似合う(笑)

そんなFBI捜査官だが、捕まえたアーヴィンと取引をするのである。

アーヴィンはとにかくイケイケの出世欲の強いキャラクター。

大物のしっぽを掴み、自分の手柄にしたいのである。

アトランティック・シティがカジノを始める時の利権に群がる大物政治家と大物マフィアを罠にハメようと計画するのだ。

そこで、詐欺師アーヴィンを利用して汚職政治家たちの証拠を掴もうとするのである。

せっかちで、人の話は聞かない、自分より能力の低い先輩を見下すようなキャラ設定である。

 

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アーヴィンの愛人役エイミー・アダムス

アーヴィンの愛人役シドニー・プロッサーを演じたエイミー・アダムス。

シドニーもこの物語では非常に重要な役である。

とくに、はじめてアーヴィンの妻にパーティーであった時の顔!

こういった複雑な感情を表情だけで表現する演技はさすがの一言。

グラグラ揺れ動くアーヴィンへの思いなど、視聴者はシドニーの気持ちを表情だけで読み解くしかないのだ。

この進め方が、この映画の面白さでもある。

 

アーヴィンの妻役ジェニファー・ローレンス

情緒不安定でうつ気味なのに、会食などの出席すると妙なテンションで思うままにふるまう。

そんなアーヴィンの妻ロザリンを演じたジェニファー・ローレンスも素晴らしい。

マフィアのピートと浮気し、アーヴィンの情報をガンガン漏らすロザリン。

また、浮気するときは子供を1人にしてしまうほどのクズっぷり。

浮き沈みが激しいキャラを見事に演じており、物語の展開でも非常に重要なキャラとなっている。

 

市長を演じたジェレミー・レナー

ニュージャージー州カムデン市長を演じたジェレミー・レナー。

市にカジノを建設し、雇用を増やしたり、市の為に尽くす姿が表現されている。

しかし、アーヴィンの話術によって政治家やマフィアと繋がるようになってしまう。

人柄の良さに感銘を受ける詐欺師アーヴィンは、なんとか減刑できなか?と考える。

こういった所もアーヴィンが憎めない所なのだ。

そして、肝心の市長の容姿はというと、1970年代のヘアースタイルが特徴的だ。

それでもジェレミー・レナーが演じると、威厳がでてしまうから不思議である。

 

ラストは爽快に騙される?

ラストは詐欺師らしい騙し方でFBIにギャフンと言わせる(笑)

そして、踊らされていたリッチーを哀れに思うのだ。

なるほど、市長やマフィアだけでなくFBIも騙していたのだ。

さすが、天才詐欺師アーヴィン。

これでかっこいいキャラならムカつくが、ハゲ&デブというところが憎めない。

視聴者もラストでこの天才詐欺師に騙されるのである。

 

氷穴釣りの話のオチは?

作品の中で、FBIのリッチーが上司からアドバイスを受ける。

それが、氷穴釣りの話だ。

最初は、捜査を焦るリッチーに対しての忠告的な話だと思う。

しかし、いつもオチの前に邪魔が入り、最後まで明確なオチは話さないのである。

なんかモヤっとした終わり方だ。

結局何だったのか?

あれは、監督が撮影現場で即興で思いついた話だったようで、兄弟が氷穴釣りをしていると父親が怒った顔でやってくる・・・と話して終わる。

その続きは、兄が氷のうえで「大きい方の用を足す」のだそうだ。

それが冷凍保存されるという、くだらない話なのだ。

映画の内容に関係ありそうで、実はないというオチなのである(笑)

意味があるとみせかけ、核心にせまらず煙に巻く・・・

この辺も監督のセンスなのであろう。

 

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