※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
『容疑者Xの献身』東野圭吾の「ガリレオシリーズ」の映画化である。
主人公である湯川(福山雅治)の大学時代の同級生である石神哲哉(堤真一)が相手役となる。
石神は湯川が認めるほどの天才。
天才VS天才ということで冒頭から期待が高まる内容となっている。
結果論であるが、最初から石神が計画的な犯罪をしていたら恐らく湯川でも推理できなかった可能性が高い(映画だけど^^)
それくらいの強敵ということだ。
また、いかにも天才数学者っぽい猫背で容姿を気にしない役作りも良い。
途中で湯川と石神が座って話すシーンがあるが、背筋が伸びてイケてる湯川に対して、猫背で洋服なども気にしない石神の対比は素晴らしい。
異性など今まで気にしたこともない石神の性格が表現され、それが事件の需要な「動機」となることを演出しているのである。
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あらすじ
石神の住むアパートの隣の部屋に引っ越してきた花岡靖子(松雪泰子)は娘と2人で暮らしている。
花岡は元ホステスであったが、現在は弁当屋さんを開業し生計を立てている。
そんなある日、元夫が訪ねてくるのだが、この男がギャンブルで借金を重ね、花岡にたかってくるのであった。
元夫は娘とは血は繋がってないのが、娘に暴力をふるうことで大喧嘩となる。
そして、自分達を守るためにも勢いあまって元夫を殺害してしまうのであった。
物音を聞いていた隣に住む石神は、2人を助けるべくアリバイを考えるのであった。
ミスリードがうまい
東野圭吾はとにかくミスリードがうまい。
花岡に好意をよせる石神の心境はわかるが、それがどんどんエスカレートしていくのである。
元ホステス時代にお世話になった常連客(ダンカン)に嫉妬しまくるのだ。
それはストーカーのように恐ろしいものであった。
確かに、花岡の為に翻弄しているのに昔の常連客とお茶なんかしていたら怒り心頭だ。
ただ、その嫉妬の炎が狂気的なのである。
遠くから写真をとったり、脅したり、石神もちょっとやばくなってくる。
今まで数学ばかりで、はじめて女性に恋心を抱くのは良いが、ちょっとこれはやりすぎだろ?と視聴者は思うのである。
しかし!これがミスリードだったのだ。
石神はストーカーを演出することで、自分を犯人に仕立て上げるのであった。
全ては花岡を助けるために。
ラストの慟哭
自分の人生に失望し、生きる希望もなく命を断とうとしていた石神。
そこへ花岡が現れた。
花岡に対して、今まで味わったことのない感情を抱くようになる。
そして、元夫の事件。
石神は自分を犠牲にして、花岡親子の幸せを願うのである。
そして、それは自分も事件を起こすことで花岡親子のアリバイを完成させるのであった。
このまま自分が有罪になることで、2人は守られる。
すべては計算通りだった石神だが、花岡の感情は計算できなかったのである。
自分も罪を償うと自供してしまう花岡に対して、「どうして!?」と慟哭する石神。
このラストの慟哭は胸を打つシーンだ。
石神が泣き叫ぶのは一体どんな感情からか?
これを想像していくうちに胸が張り裂けそうになるのである。
そして、この複雑な慟哭を演じた堤真一の演技力に脱帽するのである。
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