※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

定年退職し、妻に先立たれ、時間を持て余す70歳のベン・ウィテカーを演じるロバート・デニーロ。

そして、短期間でファッション通販サイトを成功させたジュールズ・オースティンを演じるのがアン・ハサウェイ。

悠々自適の生活を送っていたベンだが、やがてそれも飽きてしまい、もう一度社会の一部になりたいと思うようになる。

そんなある日、一枚のチラシが目にとまる。

ジュールズが経営する会社へのインターンシップであった。

応募資格が65歳以上というユニークな内容であり、すぐに興味を持つベンであった。

ジュールズとしては社会貢献の一環としての企画であり、会社の戦力となる人材を求めるものではなかった。

しかも、ジュールズ本人もそんな企画さえ忘れているほど多忙な状態なのである。

そんな中、見事採用されたベン。最初は高齢者という偏見を持たれていたが、その人柄や経験から皆に慕われていくのである。

 

スポンサーリンク

 

サヨナラの意味は?

物語の中盤、ジュールズの運転手となったベンは、ジュールズを自宅まで送った時に「サヨナラ」と日本語の挨拶をする。

これには一体どんな意味があるのか?

日本人が冗談でグッバーイなどというノリであろう。

それだけベンとの距離が縮まったと解釈できる。

数日前にジュールズがお寿司を食べていて、醤油などをこぼした日があり、そういった日本の含みから来たものだと思われる。

 

また、監督であるナンシー・マイヤーズもSNSなどで「SAYONARA」を使っており、愛着があったのかもしれない(笑)

ただ、このシーンによって社長と従業員の関係から、信頼できる友人という関係性になったことが伺えるのである。

 

フェイスブックの登録で性格を表現

この映画の見どころはベンとジュールズの友情である。

人生経験の豊富なベンが若い経営者を皮肉るものではなく、ジュールズの仕事への姿勢を尊敬している描写も多い。

ジュールズは商品の梱包など細かい所にも一生懸命で、もしキャリアの長い優秀な経営者が来てもジュールズの熱意には絶対に勝てないと説く。

そして、ジュールズもベンに対して唯一心を許せる人として接している。

それは仕事を越えた友情なのである。

この様に2人がお互いを理解する必要があるのだが、その演出がユニークである。

それがフェイスブックの登録作業である。

ベンがフィエスブックに挑戦するなか、登録時に出てくるプライベートアンケートを手伝うジュールズ。

このアンケートに答えていくことで、ベンの人間性がどんどん演出されていくのである。

この様に、視聴者にも、ジュールズにも、ベンの性格を表現するのにフェイスブックを利用するセンスが凄い。

 

スポンサーリンク

 

ジュールズの夫の気持ちもわかる

ジュールズが社長として成功している傍ら、家で育児をするのが夫マット(アンダーズ・ホーム)だ。

マットはなんと浮気をしていたのである。

風邪と装い、ベンに子供を預け、自分は浮気相手と過ごすシーンはショッキングである。

ただ、最後はジュールズに過ちを告白し、会社の継続を願う。

基本的にめちゃくちゃいい男なのである。

妻が仕事で成功し、自分の居場所を懸命に探していたのだ。

この不安などは、男性なら少し理解できるであろう。

よって、この『マイインターン』は悪役が1人もいない。

登場人物全員いい人なのである。

 

ラストの太極拳

もしお金の不安がなくなり、悠々自適な生活ができるようになったとしたら?

だれもが考えることであろう。

好きなだけ旅行にいったり、昼間からお酒を飲んだり、楽しそうではある。

しかし、恐らくベンのように飽きるはずだ。

社会の一部になりたいという気持ちが出てくるかもしれない。

そんな時は、もう一度この『マイインターン』を観たいものである。

空気を読み、人の気持ちがわかり、押しつけがましくなく、他人を蹴落とすこともなく、気が利いて、とにかく優しい。

ジュールズの元運転手が酒を飲んでいることに気づいた時も、運転手を傷つけずフォローし、それをジュールズに告げ口することもなく解決した。

大人の男性の見本のような人物だ。

この作品は年配の方に生きる勇気を与えてくれる映画だと思う。

以前は時間を節約するために社内を自転車で移動していたジュールズ。

しかし、ラストではベンと一緒にゆっくり太極拳を行い、切羽詰った感じから脱却している感じが素晴らしいのである。

 

スポンサーリンク