※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

大女優メリル・ストリープと、新人アン・ハサウェイという関係を活かした見事な作品が『プラダを着た悪魔』である。

メリル・ストリープはファッション雑誌『ランウェイ』の編集長であり、簡単にいうとドSだ(笑)

仕事に口出しされたり、頼んだ仕事を時間までにこなさなければ簡単にクビにする。

しかも、無理難題が多い。

例えば「ハリーポッターのまだ公開されていない原稿を手に入れてちょうだい(自分の子供の為に)」とか仕事には関係のない無理ゲーを与えてくる(笑)

まさにプラダを着た悪魔。

そんな編集長メリル・ストリープの新人アシスタントとして翻弄されるのがアンハサウェイだ。

アンハサウェイは、自分のキャリアの為に気楽な気持ちでアシスタントに応募したのだった。

本当はジャーナリストを目指していたのだが、こういったキャリアがあればスムーズに夢に近づけるからである。

そんな甘い気持ちで募集し、いざ採用が決定するのだが、目まぐるしい世界に困惑する。

ファッション雑誌の会社だけあり、ファッションにはうるさい。

ちょっと意地悪なアシスタントの上司エミリーには、いつも悪口を言われる。

社内全員からファッションについて悪口を言われるアンハサウェイ。

しかし、持ち前の「負けん気」や「ポジティブ思考」で切り抜けていくのである。

こうしたアンハサウェイの成長ストーリーかと思いきや、人間ドラマもあってどんどん引き込まれていくように出来ている。

 

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ミランダはアンドレアを認める?

ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)の無理難題にもどんどん慣れてきたアンドレア・サックス(アン・ハサウェイ)。

ミランダにとって「いなければならない存在」となっていた。

どんなに頑張ってもまっく評価されなかったアンドレアだったが、徐々にミランダに認められていく。

また、無慈悲にみえたミランダも、離婚問題や、様々な悩みがあることを知り、その人間性を理解していくアンドレア。

この仕事にために、彼氏や友人などを犠牲にし、進んできたことが間違いなかった感じるようになる。

そして、ミランダの仕事で訪れたパリの街並みを見て、その華やかな世界に魅了されていくのであった。

鬼のような師匠と、弟子が最後は打ち解ける・・・と思いきや、この映画は違う。

 

辞めた理由は何?

ラスト、アンドレアは『ランウェイ』を辞めてしまう。

ミランダにも認められ、これからという時に、あっさり辞めるのだ。

このラストの『駆け引き』が解り難いという方もいるので、簡単に解説してみる。

まず、アンドレアによくしてくれたナイジェル(スタンリー・トゥッチ)が、有名デザイナーであるジェームズ・ホルトのパートナーに選ばれる。

ナイジェルの出世(独立)に心から喜ぶアンドレアであった。

そして、これはもちろんミランダの推薦だ。これで益々ミランダへの尊敬が強くなる。

しかし、その裏では「ミランダ追放」が企てられていた。

高額なギャラが必要なミランダより、フランス版ランウェイの編集長ジャクリーヌを代わりにした方が費用が抑えられると会長は考えたのだ。

ミランダはジャクリーヌを嫌っており、パーティの時に記憶に残るように嫌いな演出をしている。

つまり、そんな嫌いな人物に自分の座を奪われるのはプライドが許さないのである。

そして、この「ミランダ追放」を事前に察知していたミランダは、実は手を打っていたのである。

それは、有名デザイナーであるジェームズ・ホルトのパートナーの座だ。

最初はナイジェルを推薦していたのだが、手のひらを返し、嫌いなジャクリーヌをジェームズ・ホルトのパートナーに推薦したのだ。

これにより、ナイジェルの出世(独立)は白紙となった。

また、ジャクリーヌにとってもジェームズ・ホルトのパートナーの方がギャラが高いのでそっちに振り向いた。

そして、会長には「自分が辞めると、他のデザイナーやスタッフも辞めることになっている」と脅す。

この様に、自分の地位の為なら簡単に人を裏切るミランダに対して失望したわけである。

今まで抱いていた尊敬は幻想であり、こういった世界で生きるのは自分には合わないと感じたのであろう。

あれほど這いつくばって頑張ったアンドレアだったが、催眠術が解けたように、あっさり辞めてしまう。

ミランダ用の携帯電話を池に投げるシーンは爽快だ。

彼氏や、仲間を捨てそうになった過ちに気づき、元の生活に戻っていくのであった。

 

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彼氏が素晴らしい設定

この映画、どちらの道が正しいか?という答えはない。

あのまま、自分の道を突き進むのもアリだと思う。

あれぐらいの覚悟がなければ、手に入らないモノも多い。

彼氏や仲間を捨て、自分をどんどん成長させようとするアンドレアも素晴らしい。

逆に、行き過ぎた自分に気づき、彼氏や仲間を大切にする人生も素晴らしい。

どちらが正解というのはないと思う。

ミランダも華やかな世界でありながら、私生活は泥沼が描かれているし、現実世界も同じようニュースが多い。

ただ、自分を成長させようと、上司の無理難題に挑戦する姿には勇気をもらえる。

そして、彼氏や仲間を大切にする姿勢もよい。

現実世界であれば、どんどん手が届かなくなっていく彼女をみるのはツラい。

しかし、アンドレアの彼氏は非常に大人で、もしかしたら一番共感できるキャラクターなのかもしれない。

男性が観る視点と、女性が観る視点で、映画の評価も変わる作品だと思われる。

 

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そして、宇宙飛行士役も似合っていて魅力的だ。

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