※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
もしも、自分がこの世の中でたった1人の主人公であり、他のすべてのモノはエキストラだったら?
このような想像をした人は結構いると思う。
ボクも小学生の頃、よくこういった妄想をしていた(笑)
そして、このような少し危ない思考を映像表現してくれた作品が『トゥルーマンショー』である。
主人公のトゥルーマン(ジム・キャリー)は、生まれてからずっと本人にわからないようにテレビ中継されており、リアルな人生がそこには描き出されるのである。
トゥルーマン以外はいっさい作り物であり、父親も、友達も、妻も、住んでいる地域でさえ、すべて番組の為に作られたものなのだ。
プライバシーの配慮も何もない、鬼畜のような番組スタッフである。
そして、その全ての仕掛け人であるプロデューサーであるクリストフ(エド・ハリス)。
トゥルーマンの人権もなく、すべて作られた世界に生かされているのだ。
そして、それを楽しみにしている視聴者。思わずゾッとしてしまう設定だ。
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日本人の視聴者も度々登場する
「トゥルーマン・ショー」は世界規模で人気のあるテレビ番組である。
その中で、日本人の視聴者も何度か登場する。
「日本人=テレビ好き」というイメージなのか?親子でテレビに噛り付く日本人が描かれている。
しかし、注目すべきはその背景。
超テキトーな掛け軸がかかっているのだ。
そこに書かれているのは、「バーバンク・トルーマン 毎日・・・二四時間」
毎日24時間放映されているということだと思われるが、「トルーマン」って、さすがに発音をバカにし過ぎ(笑)
また、こういったグッズが販売されているのか?と想像するとかなり笑えてくる。
しかも、お母さんなんてトゥルーマンの(たぶん)公式であるトレーナーを着てるし(笑)
この日本人親子の演出は、コメディ控えめなジム・キャリーの映画において、非常においしいシーンとなっているのだ。
結婚記念写真で指をクロスする妻
トゥルーマンがテレビ中継であることに確信を持つのが結婚記念の写真である。
妻が指をクロスして写っていることで、この世界でフィクションかもしれないと気付くのだ。
では、なぜ指をクロスしている写真を見てそう思ったのか?
指でクロスをすることは、神に懺悔をしていることなのである。
つまり、本当は愛していない人物(トゥルーマン)と結婚するにあたり、愛していると神に嘘をついてしまうことになるのである。
だからこそ、指をクロスさせて懺悔しているのだ。
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エド・ハリスがいい味出している
この作品にはもう一人の主人公がいる。
それは番組のプロデューサーであるエド・ハリス演じるクリストフだ。
クリストフはトゥルーマンが赤ん坊のころから面倒をみており、実の父親のような思いでトゥルーマンをみている。
なので、非常に情熱的に番組を作っているのだ。
そんなクリストフとの最後ラストのやり取りは、かなり深い。
クリストフにとって、現実こそ残酷であり作り物の世界なのだ。
誰も裏切ることのない番組が作り上げた世界にトゥルーマンを最後まで住まわせようとするのだ。
つまり、それほどトゥルーマンを愛しているとも解釈できる。
プロデューサーなのに、視聴率などを気にせず、トゥルーマンをいかに良い体験をさせるか?をずっと考えているのだ。
このように、本当は鬼畜のようなことを行っているのだが、なぜか憎めないエド・ハリスの存在感は流石である。
ラストに外の世界を選ぶ
ずっと過ごしてきた町の外にでるのは結構勇気がいると思われる。
トゥルーマンの場合、父を海でなくしてから、町の外には出れなくなってしまった。
しかし、それでもラストでは外の世界を選ぶのである。
純粋に外の本当の世界で生活してみたいという気持ちもあったと思う。
しかし、本当の動機はこれではないと思われる。
では、外に出た本当の動機は何か?
もちろん真実の世界を見るためであるが、それ以外にも重要なことがある。
それは・・・シルビアに会いに行くためである。
結婚してからもシルビアを想い続け、女性誌を買ってはシルビアに近い顔のパーツをあつめ、記憶を思い出すのである。
これほど愛しているシルビアを追い続けるのも本作のテーマなのである。
愛するに人に自由に会いにいくことこそ、真実の世界への第一歩なのだ。
初めて外の世界に出るのは大変であると思うが、トゥルーマンにはぜひ頑張っていただきたい。
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