※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
GOTHゴスの原作を読んだときの衝撃はまだ覚えている。
本格ミステリ大賞を受賞した原作は、非常によく構成されていて、短編のようでありそれぞれがつながっている作品だ。
中でも「犬」は、めちゃくちゃ衝撃的だった。
映像化は不可能であり、活字でしかできない叙述トリックをつかい、さらにオチの恐怖もかなりのもの。
一癖も二癖もある短編が怒涛のように押し寄せ、満足度も非常に高い作品である。
そんな中、実写化に選んだ話が「リストカット事件」。
この話も、猟奇的で背中がゾクゾクするような話であり、ラストのどんでん返しも結構面白い。
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あらすじ
ある日、人の多い噴水がある公園で普通に座っている女性の遺体がみつかる。
その遺体は、なんと手首が切断されているのだった。
すると、また後日同じように手首が切断された女性の遺体が見つかる。
この事件は猟奇殺人事件として世間を賑わせるようになる。
そんな中、主人公である神山樹(本郷奏多)は、クラスメートである物静かな女子生徒、森野夜(高梨臨)と事件に興味を抱くようになる。
2人は、過去の猟奇殺人事件などを図書室などで読んでいたことから、同じ種類の人間だと気付くのである。
特に森野は凄い。家は団地なのだが、自分の部屋はまるで黒魔術を行うようなデザイン。
この辺は、恐怖などを飛び越えて笑ってしまうリスクがあるが、なんとか堪えてほしい。
また、2人は森野のいきつけの喫茶店で情報交換を行う。
森野がどや顔で「いつもの」と注文するのも、ちょっと観ていて恥ずかしくなる(笑)
そしてなんと、その喫茶店で犯人の日記帳を拾うのである。
今回の猟奇殺人事件の内容が細かく書いてあり、犯人しかわからないことが記述してあるのである。
ボクはこの一点だけがダメだったと思う。
さすがに、犯行予定の手帳は落とさないだろう(笑)
もっと別のヒント・きっかけで犯人解明までいってほしかった。
これはさすがに無茶だ。
また、後半で森野が犯人の車に乗るのだが、これもちょっと無理がある。
顔見知りかもしれないが、森野のキャラの一貫性がなくなってしまう。
その他の独特の世界観は文句なしだが、上記の2点は致命的なマイナス要素だ。
特に手帳なんて、落としたら絶対にその場で気付くはずだ(笑)
ラストはどう?
このゴスの面白い点は、犯人捜しではないということだ。
犯人も神山にバレた後はさっさと逃げる。
そして、屋上にいた森野を救出するのである。
厳密には救出ではなく、よく眠れるようにお手伝いをするのだ。
というか、その前に数日間行方不明になってるのだから親か学校が動いているはずだ(笑)
そして、ラストはというと森野の双子トリックで幕を閉じる。
映画なのでリアリティは求めないが、さすがに盛り込み過ぎていてチープに感じてしまう。
ただ、リスカットされた遺体の芸術性は非常に高いと思う。
特に冒頭の噴水で座っているシーンは凄い。
猟奇性と芸術性を見事に映像化し、こういった視覚化は原作にはできないメリットである。
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