※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

たまたま泊まった京都のホテルで、もし戦国時代にタイムスリップしてしまったら?

非情に面白いテーマである。

京都の路地裏にある雰囲気のあるホテル、そのエレベーターからおりようとした瞬間、そこは本能寺だった・・・

タイムスリップのきっかけは明確には描かれていないが、ホテルにある古いオルゴール時計が鳴るタイミングでエレベーターに乗ると発動するようだ。

最初はエレベーターで金平糖を食べることが条件だと思っていた主人公の倉本繭子(綾瀬はるか)。

しかし、実はオルゴールが鍵だったというシーンがあるが、ぶっちゃけどっちでもいいだろ!と突っ込んでしまった(笑)

ホテルの雰囲気は素晴らしく、支配人役の風間杜夫もいい味を出している。

そして、タイムスリップした本能寺も素晴らしい。

信長役の堤真一も合っている。

しかし、キャラ設定がおかしな方向へいってしまうのがつらい。

信長が他人に「やりたいことは何だ?」なんて聞きますか?(笑)

この後半の信長のキャラ設定についていけなくなると、物語にもついていけなくなってしまう。

コメディであれば、もっとコメディにしてしまった方がよかったと思われる。

信長を良くみせようとするのが鼻につき、史実とコメディが中途半端に融合している印象となってしまっている。

 

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綾瀬はるかのキャラ設定は有り

綾瀬はるか演じる倉本繭子のキャラ設定は有りだと思う。

天然で、空気が読めず、知識があまりない。

こういったギャップがあるからこそ、あの魔王信長と関わっていく姿は面白おかしく観れるのである。

ただ、そのギャップを全然活かせなかったのが残念である。

中盤以降は倉本繭子と信長がまともに交じり合ってしまい、タイムスリップした意味もない。

だったら、信長が目を輝かせて未来の出来事を子供のように聞いてくる方がよほど面白い。

そういった展開もないのに、いきなり「お前が本当にやりたいものは何だ?」なんて強引に当て込もうとするから失速してしまう。

しかも城下町でいかにも「いい人」になってしまう。

信長が好きな人が真剣に書いた脚本なのか?と疑ってしまうキャラ設定だ。

 

信長はなぜ逃げなかったのか?

「本能寺の変」を信長に伝える主人公の倉本繭子。

しかし、信長は逃げずに自害を選ぶ。

なぜなら、倉本繭子がもってきたチラシを見るからである。

そのチラシから、未来の日本が間違いなく豊かになっていることを悟るのだ。

もし、信長が逃げて別の未来になってしまったら・・・

信長の願いは平穏な日本、つまり天下泰平。

だからこそ、歴史が変わらないように、逃げずに自害するのだ。

それが「命よりも重いもの」なのである。

チラシを大切にしまうシーンが数回あり、そして魔王となるのも天下泰平が目的だからと倉本繭子に伝える。

そういった信長に惚れてしまい、歴史の教師になるのであった。

もしあなたが小学生なのであれば、ぜひ倉本繭子に歴史を習うとよいだろう。

信長との「のろけ話」を聞かせてくれるはずだ。

 

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