※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

SF界のレジェンドであるスティーヴン・スピルバーグとJ・J・エイブラムスのコンビということで、必然的に期待値が高まる本作『SUPER8(スーパーエイト)』。

さてさて、どんな物語かというと、おっさんが昔を懐かしむ映画となっている。

まぁ、タイトルからしてE.T.世代のおっさんにしかわからない。

「スーパー8」はフィルムメーカーであるコダックの8ミリフィルムの規格であり、1965年頃から映像に興味があった人がわかるキーワードである。

だからこそ、この時代に生きていた方にとっては涙がでるほど懐かしい作品となっている。

それは度々出てくるゾンビや、主人公ジョー・ラムの部屋をみても当時の懐かしアイテムが揃っているのだ。

だからこそ、おっさん的には評価は100点になると思われる。

しかし、平成生まれの若い方にはピンと来ない作品となっている。

 

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宇宙人はどうでもいい?

この作品の宇宙人は、ぶっちゃけ中途半端。

姿形も特徴なく、善悪の判断もできない。

伏線的に「心がつながった」というようなシーンが何度か出てくるが、それが見事に回収されないザル展開。

宇宙人の魅力はゼロだ。

E.T.のような演出がないので、どういった思考があり、主人公に共鳴したのか?その描写がないので、宇宙人の感情が1つも伝わってこない。

謎の宇宙人に対してハラハラドキドキ感がほとんどないのだ。

謎の宇宙人が謎のまま帰るという、ストーリー的には全然面白くない展開となる。

 

エンドロール

エンドロールは物語の中で主人公グループが撮影していた映画が流れる。

これがゾンビ映画なのだが、これが見ごたえがあるのだ。

というのは、少年グループ演技が素晴らしいのである。

つまり、少年たちの演技をしている演技がうまいのだ。

作品中は「演技をしている」。

しかしエンドロールは「演技をしている演技」なのである。

あえてヘタに演じたり、この辺の加減が絶妙なのである。

だからこそ、エンドロールだけでも見ごたえがあり、当時同じように映像をとったことがあるおっさんにとっては、涙が出るほどノスタルジーなシーンなのである。

 

主人公グループが最高の演技をみせる

この作品、物語は全然面白くないが、少年たちの演技はそれを上回るから最後まで観るに耐えられる。

まず、主人公ジョー・ラムを演じたジョエル・コートニーは、これが初めての作品なのだ。

それなのに、恋人への淡い思いや、親友との友情、父への反発など、物語の重要な感情を見事に演じきっている。

また、ヒロイン役アリスを演じたは『アイ・アム・サム』のダコタの幼児時代を演じた実の妹、エル・ファニング。

少年たちが撮影する映画の時の演技と、実際の物語での演技との使い分けが絶妙。

アル中の父と、母のいない難し境遇を見事に演じきっている。

他にも、主人公グループはみんな特徴的であり、非常にわかりやすい。

歯を矯正している少年

デブな少年

ノッポな少年

まるでグーニーズやE.T.を観ているようだ。

この様に古典的なキャラ設定を使っており、この辺も20世紀の匂いがプンプンして良い。

また、意図的に青い光のハレーションを入れ、アナログファンを楽しませる演出も素晴らしい。

ただ、何度もいうようだが、宇宙人の設定が中途半端過ぎて、この映画にノスタルジックを感じないターゲットは非常に退屈な作品となってしまうだろう。

 

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