※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

水中がテーマの映画であり、CG技術も発展途上である中、この撮影技術はさすがジェームズ・キャメロン監督だ。

主役のエド・ハリスをはじめ、キャストの水中での演技に脱帽である。

主に撮影用のプールを中心に模型と合成をさせたり、大変苦労したようである。

また、ラストの名シーンであるエド・ハリスが降下していく場面では、ヘルメットの中に液体酸素が入る。

実はこれ、実際に水を入れていたのだから凄い。

ヘルメットのガラスを二重にして、外側だけ水を入れるようなトリックだと思っていたが、リアリティにこだわりポンプで水を入れて撮影したようだ。

ヘルメットに水が入って、エド・ハリスは呼吸をするのだが、これは全て演技だったのだ。

ただ、撮影のために1分間以上ヘルメットが脱げないシーンもあった為、演じていたエド・ハリスも命がけの演技だったようだ。

また、「赤ちゃんもお母さんのお腹の中では息をしているだろ」という台詞は、この映画をはじめてみた小学生の時、妙に納得したのを覚えている。

酸素ボンベに代わって、こういった技術が近い将来開発されそうだ。

 

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あらすじと感想

主人公バッド(エド・ハリス)は海底油田の採掘会社で働いていて、その採掘チームのリーダーだ。

ある時、アメリカ軍の潜水艦が何かに攻撃を受け、沈没してしまう。

その潜水艦を救援するために、バッドの採掘チームに要請が入る。

謎のハリケーンで、海軍の人手が足りなくなってしまったからだ。

一部の軍人(コフィ大尉)と、バッドの妻であるリンジーと一緒に潜水艦の救援に向かうのであった。

リンジーはバッドが乗っている海底油田採掘船の設計者であり、仕事人間でもあり、バッドとすれ違ってしまっていたのだ。

潜水艦の救援に向かいにいくと、リンジーやコフィ大尉は光る物体と遭遇する。

コフィ大尉は、それがロシアの秘密兵器だと思い込んでしまう。

そこで、潜水艦にあった核弾頭を持ち出してしまう。

光る物体は採掘船の中にも入ってくるようになり、コフィ大尉はますます混乱してしまうであった。

やがて、核弾頭をつかい、その光る物体を攻撃しようと試みる。

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正気を失うコフィ大尉を、みんな止めようとするが潜水艇に乗って海中に出てしまう。

それを必死で止めるバッドとリンジー。

なんとかコフィ大尉を阻止し、コフィ大尉が乗っていた潜水艇は核弾頭と共に海中に落ちていくのだった。

核弾頭を回収する為に、バッドは潜水服を着て深海に潜っていくのだった。

核弾頭の起爆装置を解除し、一件落着にみえたが、液体酸素がなくなり絶体絶命のピンチ。

そのピンチを救ってくれたのが、光る物体だったのであった。

 

後半にかけて怒涛の展開

コフィ大尉の乱心を阻止したバッドとリンジー。

しかし、潜水艇が故障してしまい、戻れなくなってしまう。

酸素ボンベも一人用しかない。

そこで考え出した答えが、リンジーを一時的に溺れさせ、戻って蘇生をさせるという方法だ。

これは水温が低い状態である場合、本当に蘇生できる可能性がある方法らしい。

実際に海外の気温が低い地域で、池で溺れた人が蘇生することが多々あるようだ。

そして、劇中の蘇生シーンはリアリティがあって手に汗握る。

無事に蘇生したリンジーだが、それからスグに核弾頭の起爆装置を解除する展開に入る。

バッドが深海を降下する途中、気圧で機器が壊れていくのは凄いリアリティだ。

そして、液体酸素がなくなり皆が悲しむと、感動のメッセージをタイピングするのである。

『片道切符は覚悟の上だ、だが、やらなければならなかった』

これ、口で伝えるセリフではなく、タイプというところが素晴らしい。

とても感動的なメッセージだ。

そして、このメッセージによって自己犠牲の精神をみた海底に住む生命体が、一時は愚かな人間を滅ぼそうとするが、思い直すのである。

 

この様に『アビス』は水中パニック、サスペンス、SFを融合した歴史に残る作品である。

 

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