※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
天才数学者ジョン・ナッシュと、その妻の反省を描いた作品である「ビューティフルマインド」。
この作品は実話であり、ジョン・ナッシュは実際にノーベル賞も受賞した人物である。
ただ、この天才的な頭脳も『ある悩み』があったのだ・・・
この作品の見どころは多い。
まず、予備知識を入れないで観た方が絶対に良い。
ボクも何の予備知識を入れないまま観たので、かなり度胆を抜かれた。
(ここからネタバレを含みます)
ビューティフルマインドのあらすじ
1947年、ジョン・ナッシュはプリンストン大学大学院数学科にカーネギー奨学生として入学する。
つまり、天才ということだ。
ナッシュは授業には出席せず、一人で研究に没頭する変人ぶり。
唯一、ルームメイトのチャールズにだけは心を許す。
そんな中、ある事をきっかけに「ナッシュの均衡理論」を閃く。
これが評価され、望んでいたウィーラー研究所へ推薦してもらえることになる。
ここでも研究に集中するナッシュだったが、ある時、その能力を国防省から認められるようになる。
国防省のパーチャーは「キミ以上に暗号解読できる人物を私は知らない」と絶賛する。
当時は米ソ冷戦時代であり、情報合戦でもあった。
敵の暗号を解読し、戦況を有利に進めたり、リスクを排除するためにも暗号解読は必須だったのだ。
しかし、それは国家の秘密事項でもある為、この暗号解読の仕事は秘密にしなければならない。
そしてナッシュは、退屈な研究よりも暗号解読に憑りつかれていくのである・・・
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幻覚による「どんでん返し」
結婚もし、子供も妊娠し、仕事も充実。
何もかも上手くいっているようにみえたナッシュ。
しかしある時、暗号解読の資料を渡しにいく途中、敵に狙われてしまう。
国防省のパーチャーが素早く救いに来てくれたおかげで難を逃れる。
しかし、それからは『常に誰かに狙われている』という不安が襲い掛かるようになる。
出かける時も、仕事をしている時も、常に狙われていると感じてしまうのである。
その様な不安な状態から、どんどん精神が混乱していく。
しかし、実はこれらは幻覚だったのだ・・・
統合失調症による幻覚で、国防省のパーチャーも、暗号解読の極秘任務も、ルームメイトだったチャールズも幻覚だったのである。
この統合失調症がリアルに描かれていて、かなり怖い。
幽霊などに通ずる現象を、効果的な演出で描かれている。
「恐らくこう見える」という幻覚を見事に映像で表現しているのだ。
この様に、ナッシュの幻覚という、まさかの「どんでん返し」に驚愕するのである。
ただ、この時点では残り1時間もある。
通常の映画であれば、これでフィニュシュだが、ここからがアカデミー賞の凄味がはじまる。
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後半は妻の物語となる
ナッシュの幻覚という「どんでん返し」で収束するかにみえた「ビューティフルマインド」。
しかし、本当の物語はここから始まるのだ。
ナッシュの闘病を支える妻アリシア。
彼女も苦悩の連続なのである。
小さい赤ちゃんが生まれたばかりであるアリシアは、赤ちゃんのお世話をするだけで大変なのである。
そこへ、幻覚と戦う夫ナッシュの看病もする精神力は並大抵ではない。
ナッシュが外で誰かと挨拶をするだけでも、不安になってしまう。
ナッシュは薬により、病気の進行を抑えていた。
しかし、様々な事情からナッシュは薬を飲むのを嫌い、飲むフリをするようになる。
すると、再度幻覚を観てしまうのである。
敷地にある物置小屋を任務の活動部屋にしてしまう場面は「狂気」である。
妻の協力でノーベル賞を勝ち取る
献身的な看病をした妻のおかげで、プリンストン大学での研究生活を送れるようになったナッシュ。
ここで過ごすのがベストだと判断したのだ。
幻覚はまだ見えるが、それが現実でないという判断はできるようになっていた。
そこから月日が流れ、症状も落ち着いてきたころ、なんとノーベル経済学賞を受賞することになる。
受賞のスピーチで、感動的な妻への感謝を述べるである。
ラッセル・クロウの凄さ
この映画は、ナッシュ役を誰にするかで決まったと思う。
ラッセル・クロウでなかったら、アカデミー賞はとれなかった可能性も高い。
それほどラッセル・クロウは素晴らし演技をした。
統合失調症という難しい演技は、誰もができるものではない。
監督もラッセル・クロウが演技をしやすいよう、通常は時系列バラバラに撮影する所、ストーリー順に撮影するほどのこだわりぶり。
ただ、実際のモデルになったジョン・ナッシュと妻アリシアは、2015年に乗車したタクシーが事故を起こし亡くなってしまった。
顕著な業績をあげた数学者に贈られるアーベル賞を受賞した帰路の途中であった。
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