※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

ベテラン刑事と新米刑事という鉄板の組み合わせ、ありきたりな話だが、やっぱり引き込まれる設定だ。

ベテラン刑事がデンゼル・ワシントン。

新米刑事がイーサン・ホーク。

 

新米のイーサン・ホークが、ベテランのデンゼル・ワシントンに振り回されながら鍛えられ、やがて友情が芽生え、巨大な悪を倒す・・・

 

もちろん、そんな映画ではない!

 

微妙な『悪』と『善』を表現するデンゼル・ワシントンが絶妙なのである。

「このベテラン刑事、大義名分の為に少し悪いこともするが、結局は大物を倒すためなのだろう」と視聴者に刷り込んでいく演技は素晴らしい。

 

「狼を倒すのは狼だけ」

つまり「多少の悪い事はしても、町を救う為にしかたがないことであり、最終的には平和の為」とイーサン・ホークと視聴者を振り回す演技・演出が絶妙なのだ。

アカデミー主演男優賞も納得だ。

 

これはイーサン・ホークを鍛える為の試練(トレーニング)と、まんまと題名に騙される。

しかも、イーサンが手柄を立てると、微妙に喜ぶところも凄い演出なのだ。

飴とムチの使い分けにより、イーサン・ホークも「悪いこと」と感じながらも、強さを求め付いていってしまう。

これが徐々にエスカレートし、最終的には自分を殺そうとしていたことを知り、初めてデンゼル・ワシントンに牙を剥く。

ここまでされないと気づけなかったイーサン・ホークもマヌケだが、徐々に悪へ導く演出が凄いのである。

 

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スマイリー(ラテンギャング)のリアリティ

物語の後半、デンゼル・ワシントンはイーサン・ホークを始末しようとする。

金とアリバイを手に入れ、新米刑事は『用済み』になってしまったわけだ。

で、その始末を頼むのがラテン系ギャングの「スマイリー」。

これがリアルで本当に怖い。

まず、デンゼル・ワシントンは刑務所に入っている親しい情報屋の家族に贈り物がしたい、と安そうな家電を持ち家に入る。

これは嘘で、イーサン・ホークを警戒させないよう、始末屋(ラテン・ギャング)の家へ入れる為だ。

ここが凄いリアルで、家の中には家族や、若い娘がたくさんいる。

まさか、この中で恐ろしいことが起こるとは誰も思わない。

そして、デンゼル・ワシントンは「トイレ」といって、どっかへ行ってしまう。

部屋には男が3人でポーカーをやっている。

ラテン系の陽気な感じで、イーサン・ホークを笑顔でポーカーに誘う。

イーサンも得意げに参加する。

これまでのデンゼル・ワシントンとの経験によって、悪いヤツにも免疫ができているわけだ。

そしてポーカーで打ち解けたタイミングで「銃をみせてくれ」とせがまれる。

悪いヤツに免疫ができたイーサン・ホークは、油断から銃の弾を抜いて渡してしまう。

しかし、銃ではなく弾を取ることがスマイリー達の狙いだったのだ。

素早く弾をとったスマイリーだったが、まだ自分の立場を把握できていないイーサン・ホーク。

この辺の雲行きがジワジワ悪くなる感じが一層恐怖を盛り立てる。

「そろそろ行かないと」

イーサン・ホークはデンゼル・ワシントンを探す。

しかし、スマイリーはデンゼル・ワシントンの車がないことを教える。

つまり、置いていかれたわけだ。

 

それは何を意味するか?

なぜ、札束を渡していたのか?

なぜ、銃の弾をとったのか?

なぜ、電話でバスタブの話をしていたのか?

なぜ、スペイン語を練習しろと言われたのか?

すべてが繋がったとき、とてつもない絶望が押し寄せてくるのである。

このシーンは本当に背筋が凍りつく。

※ちなみに、スマイリー役を演じたクリフ・カーティスは、この役の為に本物のギャングと会ってかなり研究したそうだ。雰囲気・表情、かなりヤバイ

逃げようとするイーサン・ホークだが、プロの殺し屋に適うはずもなくバスタブへ連れていかれてしまう。

スマイリーの仲間の一人が、イーサン・ホークを殺す前にポケットから財布を抜こうとした時、もう一つの財布(学生証)が見つかる。

それは、レイプされそうになった女子学生のものだった。

つまり、女子学生がいっていた「身内にギャングがいるかんね~」とは、スマイリーのことだったのだ。

ここで、あの伏線が繋がるのかぁ~と、視聴者は安堵する。

そして、復習に燃えるスーパーイーサン・ホークになるのである(笑)

 

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カタツムリの話は何?

情報屋で麻薬の売人であるロジャー。

イーサン・ホークがこのロジャーの家を行った時、カタツムリの話をされる。

これの明確な意味は最後まで出てこないし、ちょっとわかりづらい表現である。

結構長いシーンなので、比喩であることは間違いない

ここで重要なのは、ロジャーが話し終った後、デンゼル・ワシントンは笑っていない点である。

ロジャーは冗談だと前置きしたのにもかかわらず。

まず「オチ」から考察する。

ふざけるな」である。

なぜ、カタツムリをみて「ふざけるな」と言ったのか?

1年がかりで戻ってきたのにもかかわらず・・・

ここでポイントなのが、この人間は投げ捨てたカタツムリを覚えていたか?である。

もちろん覚えているはずがない。

ということは何か?毎日カタツムリが出てきてウンザリしているのである。

だから、今日もまたカタツムリがいる・・・ふざけるな!なのである。

そのカタツムリの1年の頑張りなんて知る由もない。

これを比喩するのは?

売人?

中毒者?

それとも新米刑事?

ロジャーが話し終った後のデンゼル・ワシントンが、何ともいえない表情をみせる。

 

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ラストは爽快?

中盤でデンゼル・ワシントンと4人の大物と話すところがあるが、ここで「ベガス」というキーワードがでてくる。

この時はまだわからないのだが、「ベガス」でロシアの大物を殺してしまったようだ。

これはスマイリーのシーンで視聴者に明るみとなる。

ロシアのマフィアから狙われているデンゼル・ワシントン。

和解には大金が必要だ。

大金をどうする?

ロジャーが持ってる。

そこで、今回の計画を立てたわけだ。

しかし、それが最終的に失敗し、ロシアマフィアに蜂の巣にされれて終幕。

威勢のよかった悪徳ベテラン刑事も最後はあっけなかった。

なぜなら、スーパーディフェンダーのイーサン・ホークがいたからである。

新米っぽい軟な感じがでていたが、実はかなり強くて最後は笑えた。

 

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