※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

「どうやって答えを知った?!」

多額の賞金がでるテレビ番組ミリオネアで正解を連発する主人公。

この主人公が尋問されるオープニングで始まる。

この時点で、面白い。

ボクはこの映画の予備知識がなかったので、この主人公がどうやってトリックを使って答えを連発したのか?という映画だと思っていた。

ところが、この主人公は自分の記憶だけを頼りに正解していったのである。

つまりトリックなどの話ではない。

この過去の記憶と、主人公を取り巻くキャラクターの背景が重なりながら物語が進んでいく構成だ。

で、普通は過去の記憶を使っても覚えていられない事の方が圧倒的に多い。

でも、この主人公はずっと過去を覚えている。

なぜなら、愛する人が忘れられないから・・・

新しい未来に目を向けるのではなく、過去に執着しながら生き続ける男の物語なのである。

 

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未来と過去を兄弟で表現

主人公には兄がいて、この2人の性格の描写が絶妙なのである。

目先の欲を重要視し、根回しなどのサバイバル術に優れている兄サリーム。

この兄が、時にいじわるで、時に頼りになり、時に家族さえ裏切る。

逆に主人公の弟ジャマールは、執着心の塊だ。

好きな俳優のサインをもらう為に、トイレに落ちてでも近づく。

これが、『スラムという環境』と『執着する性格』を同時に表現し、かなり凄いシーンだと感じた。

このシーンがあったからこそ、愛した女性をずっと追い続ける説得力も生まれる。

アカデミー賞も納得の演出なのである。

 

兄は過去はすぐに忘れ、新しい未来を渇望する。

弟は未来には興味がなく、過去に生き続けている。

 

だからこそ、過去にあった手がかりをすべて記憶し、愛する人に近づこうとするのである。

これが、ミリオネアで全問正解できたトリックなのだ。

 

怖い映画

この映画、結構怖い。

というのは、インドをリアルに描写しているからである。

インドのマフィアは孤児をさらい、その子たちに物乞いをさせてお金を集めている。

そして、その子が障害があるほどお金を多くもらえるわけだ。

だからこそ、目をつぶす描写などがある。

こういった組織は、実際にあると思う。

この辺のリアリティが、ちょっと恐怖を感じる。

 

みのもんたのオマージュ?

このミリオネアという番組、実はイギリスの番組がオリジナル。

その権利を買って、世界中で放送しているわけである。

よって、みのもんたがオリジナルではなく、イギリスの番組がオリジナルなのだ。

でも、みのもんたも、いい味だしていたと思う(笑)

 

最後の問題はなぜ答えられた?

最後の問題以外は、すべて過去の記憶から答えることができた。

しかし、最後の問題だけは「まったくわからない」と告白する。

ここでライフラインを使い、兄の携帯に電話をかける。

しかし、電話にでた相手はラティカ。

そして、この問題の答えをラティカは・・・

当然わからない(笑)

ここがこの映画のハイライトだと思う。

答えがわからないのに、ジャマールもラティカも嬉しそうなのである。

答えなんてどうでもいい、くらいのノリだ(笑)

ここで重要なのが「執着」だ。

ジャマールはずっと「執着」してきた。

それはラティカに対してだ。

だから、ミリオネアに対しての執着はない。

よって、ラティカが答えを知らなくても、「どうしよう?」という感じは一切ない。

迷わず、適当に答えるだけだ。

それが、結局正解となる。

 

映画の冒頭で出てきた選択のうち、「運命だった」が正解なのである。

 

一つに執着すると、かなり辛い思いもする・・・

でも、最終的には願いが叶いハッピーエンドで終わるのだ。

 

スラムドッグミリオネアはスラムの厳しい現実、食うか食われるかの人間関係、などなど結構キツイ描写もあり好き嫌いが分かれる映画だと思います。

正直、ボクはショックなことが多くて、この映画好きではないです(笑)

 

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