※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
30年経っても色あせない作品は結構ある。
音楽、ドラマ、小説、映画。
こういった作品は、ある種「魔法」だと思う。
頭を捻り出して未来を予測し、細部に渡って古さを感じさせない工夫を施す。
こういう努力が、10年後、20年後も鮮度を保つ作品になるのであろう。
「ブレードランナー」もそういった魔法のSF映画だ。
30年以上経った今でも「新鮮」な状態で観られる。
また、各種テーマや、なぞかけ、などなど魅力的な要素もしっかり散りばめられている。
だからこそ、熱狂的なファンが世界中に存在し、伝説的なSF映画なのである。
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ブレードランナーあらすじ
物語は非常にシンプル。
2019年(当時は未来^^)人間そっくりの人造人間「レプリカント」が反逆を起こす。
そんなレプリカントを排除する特別捜査官の名称が「ブレードランナー」だ。
姿は人間にそっくりなので、レプリカントを探すのは一苦労。
主人公であるブレードランナーのデッカード(ハリソン・フォード)が推理をしながらレプリカントを追いかける、という単純なストーリーだ。
ブレードランナーの魅力は?
緻密なサスペンス、さらにサイコ的に要素など、ブレードランナーには魅力が多々ある。
しかし、1番の魅力は何といってもレプリカントのリーダーである「ロイ」だ。
そもそも、レプリカントは過酷な労働を人間の代わりに行う為に生み出されました人造人間。
しかも、生み出されてから4年後にプログラミングが停止するという制限もあり、ちょっと同情してしまう。
そんな中、感情が芽生えてしまうレプリカントが出現するようになった。
過酷な労働、さらに4年という寿命に不満をもったレプリカントが革命を起こす物語なのだ。
そのレプリカントのリーダーが「ロイ」であり、戦闘力が高く、知能も高いレプリカントである。
自分達を破壊しにくるデッカード(ハリソン・フォード)に対して、圧倒的な力で迎え撃つ。
デッカードはロイに歯が立たず、まったく戦闘にならない。
しかし戦闘の途中、ロイは自分の寿命を悟る・・・
すると、サイコ的だった戦闘マシーンが、ハトを助け、デッカードまで助けたのだ。
ここに全てが集約されていると思われる。
基本的にブレードランナーはキャラの「温かさ」が描かれていない。
都市の喧騒の中でも、「人間らしさ」が全然描かれてない。
例えば、1人目のレプリンカント(ヘビ女)をデッカードが倒した時、ショッピングセンターで倒れる彼女を誰も心配・介抱しようとはしない。
「人間らしさ」がまったく描かれていないのである。
そんな中で、ロイの最後は実に「人間らしい」。
人を助け、動物を助け、長く生きたいという感情も前面に出す。
ロイはラストでこう叫ぶ。
「おまえたち人間には信じられないようなものを私は見てきた。オリオン座の近くで燃える宇宙戦艦。タンホイザー・ゲートの近くで暗闇に瞬くCビーム、そんな思い出も時間と共にやがて消える。雨の中の涙のように。死ぬ時が来た。」
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デッカードもレプリカントだった?
この様に、人間らしいレプリカントと、人間らしくない人間を対比させることで、非常に深みのある物語となっている。
そんな中、人間の方であるデッカードに不自然なシーンが多々見られる。
- レイチェルとの関係
- ユニコーンの夢
- ガフの折り紙
意味深なシーンが結構あるのである。
この辺も熱狂的なファンが多い理由なのであろう。
ただ、これはすでに解決済みである。
なんと!監督が明言したのだ。
「デッカードはレプリカントだ」と発言したのである!
これにより、また映画の見え方が変わるので面白い。
ただし、恐らく「そうした方が面白い」から後付けでそういう設定にしたのだと思う。
なぜなら、ハリソン・フォードは監督にそのようなことを言われなかったと発言しているからである。
もし、一作目のオリジナルで、すでにデッカード=レプリカントの設定であれば、演じる俳優には絶対に言うはずである。
つまり、後で考えたら、そちらの方が面白く、矛盾点も少ないことから変更したのではないだろうか?
それはそれで面白い(笑)
とにかく、キャラデザイン・コンセプト・哲学、どれをとっても面白い映画なのは間違いない。
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