※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
今回は「ロング、ロングバケーション」を取り上げてみたいと思います。
私が映画鑑賞のフランチャイズにしているシネコンで、映画のあらすじと各界の著名人の絶賛コメントを集めたリーフレットが目にとまり、気が付くと思わず吸い込まれるようにチケットを購入しておりました。
しかも、文豪アーネスト・ヘミングウェイの家を目指すロードムービーという誘い文句まで付けられたら、「老人と海」の世界観に胸を躍らせていた少年時代の憧憬が蘇るってもんですよ!
上記設定に加え、妻は末期がん、夫はアルツハイマーという人生の終着駅を目前にした70代の老夫婦が、愛車のキャンピングカーに乗り込み最後の旅に出かけるという何ともそそられるシチュエーションであります。
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老夫婦の旅路
人生の折り返し地点を過ぎた方ならば、私でなくても観たくなるでしょう?
しかし、点数をつけるならば78点です。
基本的に80点が合格ラインなので、悪くはないが若干の物足りなさが残るといった感じでしょうか。
誤解しないでいただきたいのですが、これは私の期待値が高すぎたことに起因しています。
基本的には、楽しく観れた映画だということは間違いありません。
この老夫婦の掛け合いはとても楽しめ、観客席からしばしば笑い声が洩れていたことからも窺えます。
夜になると思い出の詰まった8ミリフィルムを二人で鑑賞し、50年連れ添った夫婦の軌跡に思いを巡らします。
誰かが、「夫婦生活の素晴らしさは老後にこそある。」と言っていたのを思い出させる名シーンですね。
ところが、旅の途中でアルツハイマーの夫がとんでもない告白をしてしまうんです。
アルツハイマーのどんでん返し
妻が妊娠中に、お隣さんと浮気をしていたことを!アルツハイマーである夫は、時として現在と過去が混同してしまいます。
その時も、当時にタイムスリップしてしまい目の前にいる妻を浮気相手と勘違いした挙句、別れ話をし始めてしまいます。
妻を心の底から愛しているので別れようと。
私は男ですが、人生の大団円を迎えた場面で、こんなことを言われた奥さんに心からの同情を禁じえませんでした。
一度は夫との別離を考えた妻でしたが、夫を許し再び旅路につくのでした。
私の評価があと一歩なのは、エンディングがあまりに唐突な印象だったからです。
ゴルフでいう、まさしく“サドンデス”です。
車中で二人は、自裁という最期を迎えます。
余命いくばくもない妻が、アルツハイマーの夫を一人残して逝けないという思いは分かるのですが…
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