※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

超能力者同士の戦いを描いたパイオニア的な作品が『スキャナーズ』である。

スキャナーズとは、この作品において超能力者たちの総称となっている。

超能力者の戦い方としては、テレパシーを送りながら相手を倒すといった感じの描写である。

なので、パンチやキックなどは使わない。

また、この超能力によって頭部を破裂させる描写は、かなり刺激的なシーンである。

日本のアニメである「アキラ」や「北斗の拳」なども同じような描写がある。

スキャナーズの影響を受けたかどうかの記述はないが、恐らく影響は受けたはずである。

この様に、超能力を使った戦いは見どころの1つであり、斬新な映像を楽しむことができる。

ジャンルはSFホラーということで、若干グロテスクな所もあり、苦手な人は注意が必要である。

 

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ライプ計画

実はスキャナーズは意図的に生み出されていたのだった。

1946年に妊婦用睡眠薬が発売されたのだが、産まれた子供に副作用がある事件が起こった。

その副作用こそ「超能力が備わる」というものであったのだ。

睡眠薬はすぐに発売中止となったが、それに目をつけたのが研究者のルース博士である。

そしてルース博士が自分の妻に睡眠薬を投与し、生ませた子供が主人公であるカメロン・ベイルと、敵役であるレボックだったのだ。

そして、この睡眠薬(エフェメロル)を秘密裏で開発し、産婦人科医院に提供することでスキャナーズを大量生産させる計画が「ライプ計画」なのである。

スキャナーズを大量生産させ、自分でコントロールできれば世界征服ができるからである。

 

衝撃的なラスト

ラストは、カメロンとレボックの一騎打ちとなる。

スキャナー同士の戦いは苦悶の表情を浮かべるだけでイマイチ解り難い。

と、思っていたら、さすがラストバトル。

血管がめちゃくちゃ浮き出る演出により、どちらが優勢なのかわかるようになっている。

とはいっても、どちらも血管が破裂したり、めちゃくちゃ接戦である。

限界を超えるような超能力合戦となったが、別の部屋にいたキムが目を覚ますシーンに切り替わる。

そして、キムが戦いの部屋へ行くと唖然とする。

どちらかの姿が灰となっているのだ。

これはカメロンなのか?

それともレボックなのか?

一体どっちだ?!という疑問の中、キムの目に1人の人間の姿が映る。

それはレボックであった。

しかし、声はカメロンなのである。

カメロンの声で「僕たちは勝ったんだ」と淡々と語るのである。

ストレートに解釈すると、超能力合戦でカメロンがレボックの体を乗っ取ったという表現であろう。

ただ、カメロンとレボックが共存している可能性もある。

何とも言えないシーンであり、そのまま幕を閉じてしまう。

この辺の余韻を残すところも見事である。

カメロン役のスティーヴン・ラックも超能力者っぽい雰囲気が出ていてよかったと思う。

そして、レボック役のマイケル・アイアンサイドは、まるでシャイニングのジャックニコルソンのようで、強烈な印象を与えたのであった。

まだCGなどもない1981年で、ここまでSFを表現できる特殊メイク技術は本当に素晴らしい。

CGがないからこそ出来る迫力である。

 

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