※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

特攻服の土屋アンナと、ロリータファッションの深田恭子が、茨城県の下妻でどんな物語を繰り広げるのか?

これだけも強力な『引き』があり、このタイトルとポスターによって映画を観る前から楽しい雰囲気にさせてくれるのが『下妻物語』だ。

ただ、そういった外見的なものだけではなく、コメディを中心に、見応えのある内容となっている。

まず、深田恭子が演じる竜ヶ崎桃子のキャラが濃い。

田んぼだらけの町で、ロリータ・ファッションを貫く姿勢は、実は強い精神力の表れなのだ。

なんとなく弱々しい深田恭子を土屋アンナが助けるという単純な話ではなく、このギャップにどんどん引き込まれていくのである。

ロリータ・ファッションを愛する深田恭子は、学校での存在も浮いている。

お昼もいつも一人である。

休み時間に話しをする友達もいない。

でも、それでいいのである。

友達がいなからといって悲観もしてないし、自分が好きなことに対して真っ直ぐなのだ。

めちゃくちゃ強い(笑)

一方、土屋アンナ演じる白百合イチゴも、代官山に特攻服で行くほど強い(笑)

人情味があり、約束は守り、そして竜ヶ崎桃子と同じく自分のポリシーを持っている。

この2人の友情を描いた青春コメディ映画だ。

 

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ロケ地ジャスコが素晴らしい

物語で登場する下妻のジャスコは現在は『イオン』となっている。

作品中、地元の人たちは、みんなジャスコで服を買うのだ。

何でも揃い、しかも安い。

これは何かのメタファとか、否定とかではなく、下妻の人々にとってジャスコがどれほど愛されているのかがわかる良いシーンだ。

また、白百合イチゴが失恋をして嘆く川は『鬼怒川』だと思われる。

この美しいのどかな田園風景も、素晴らしい味をだしている。

ロリータ娘とレデュース暴走族が、田んぼのど真ん中で友情を深めるのは、とても美しい光景であり興味深い。

 

冒頭の交通事故でキャベツが舞うセンス

スローモーション&CGが得意な中島哲也監督。

下妻物語の冒頭である、八百屋の軽トラと竜ヶ崎桃子が接触し、スローで宙に舞うキャベツのセンスが凄い。

ロリータファッションに身を包んだ娘が、原チャリの乗り、軽トラとぶつかりキャベツを飛ばす。

最高のスタートシーンである。

しつこく付きまとう白百合イチゴに対して、キャベツを渡し「これを私だと思って」と言う竜ヶ崎桃子。

ここでもキャベツの使い方が見事である。

また、アニメも多様しており、各種エピソードのインパクトや、テンポのバランスなど、やはり腕のある監督はまとめ方がうまい。

 

名言について

下妻物語では心に響く名言も登場する。

人間は大きな幸せを前にすると、急に臆病になる

幸せを勝ち取ることは、不幸に耐えることをより勇気がいる

これはドキッとしてしまう方も多いのではないか?

目の前にチャンスはあるのだが、挑戦はやはり怖い。

だから、不幸を愚痴っている方が楽なのである。

この言葉に感銘を受けた母(篠原涼子)は整形し美人コンテストに出場するのである(笑)

監督のセンスが「これでもか!」というほど詰まった、日本映画の傑作青春コメディだ。

 

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