※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
もしタイムトラベルが出来たら?
この手の映画や漫画はたくさんある。
それぞれ練ったアイディアでタイムトラベルという武器を魅力的な物語にしていく。
エンターテイメントであれば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。
SFサスペンスであれば「バタフライ・エフェクト」。
そして、タイムトラベルを扱ったのヒューマンドラマであれば本作「アバウト・タイム」が入ってくると思われる。
エンターテイメントでもなければ、SFでもない、アバウト・タイムは静かなヒューマンドラマにした所がポイントだ。
「過去に戻って株で大儲け」こういったエンタメ系な展開にはならない。
また、「警察に協力して難事件を解決」というサスペンスにもならない。
恋人と家族を丁寧に、静かに描いたタイムトラベルなのである。
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あらすじと感想
ちょっと冴えない主人公ティム・レイク(ドーナル・グリーソン)は、21歳の誕生日に父から仰天の話を聞く。
それは、自分の家系がタイムトラベルを使える能力があるということだ。
そして、それは男性のみが持ち、女性にはその能力が使えないというものだった。
この時点で科学的な要素は一切ない。
もう、『家系的な能力』なのである(笑)
ここで脱落してしまう人もいるかもしれない。
だって、そういった家系であれば普通ではない環境にいるはずだからである。
「お金に走ると不幸になる」という描画があるが、お金の扱い方を先祖代々伝えていけば不幸になることはないし、ボランティアなど様々な機会を得ることができる。
ただ、この映画はヒューマンドラマを中心に描くので、やはりそういったエンタメ路線にはいかない。
では、どこに行くか?
それは『ラブストーリー』だ。
ただ、この『ラブストーリー』も一種の伏線であり、実は『父子の愛情物語』に反転する瞬間が最大の感動を生み出すのである。
主人公のティムは、タイムトラベルを使いながら、そのルールを学んでいく。
・どんなに過去に戻っても手に入らないものもある。
・過去の選択によって未来も変わる
・子供が生まれる前に戻ると、子供に影響がでる(外見が変わってしまうなど)
この最後の子供が生まれる前に戻ると、精子の影響で別の子供になってしまう。という設定が物語最大の伏線ではあるのだが、ここに違和感を感じてしまう方は恐らく楽しめないと思う。
共感できるかどうか?
中盤ではヒロインのメアリーと付き合い、プロポーズ成功までが描かれる。
その為にタイムトラベルを繰り返すティム。
何度も繰り返し正解を見つけ出そうとする主人公。
この姿に共感できるかどうか?もポイントの一つだ。
都合が悪くなれば過去に行けばいい・・・
これは一種のドーピングだ。
メアリーにどんなプロポーズをすれば成功するのか?
何度かやり直し、ようやく答えを見つけるティム。
この姿を「かわいい」と感じれば、良い作品として心に残るだろう。
ただ、やっぱり卑怯な感じはする。(笑)
何度も過去に戻られて、コントロールされた側は、やっぱり嫌じゃない?(笑)
しかし、その卑怯があってこそラストの苦悩に繋がっていくのである。
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ラストはどう?
後半になると、ティムの父は癌であることがわかる。
その原因はタバコであり、ティムが生まれる前からタバコを吸っていたのだった。
癌から逃れる為には、ティムが生まれる前に戻らなければならない。
しかし、それでは別のティムが生まれてしまう。
だからそれは出来ない。
そして、ティムはというと、妻から3人目が欲しいと言われる。
もし赤ちゃんが出来たら、もうタイムトラベルは出来なくなってしまう。
なぜなら、過去に戻ると別の赤ちゃんになってしまうからだ。それは生前の父ともう会えないことも意味する。
癌で亡くなってしまった父だが、ティムはタイムトラベルで会いにいっていた。
しかし、新しい赤ちゃんが生まれたら、過去に戻ると別の赤ちゃんになってしまう為、もう父には会えない。
そして、最終的にタイムトラベルは必要ないということを悟る。
過去を能力で変えるのではなく、その日その日を大切に生きることが最も幸せということに気づく。
ラブストーリーから、父子の愛情物語に移る過程は、非常に心が温まる。
しかし、細部の設定に違和感を感じると残念な評価になってしまう危険もある。
この設定を素直に楽しめれば、とても良い作品だと思う。
その点において、観る者によって極端に評価がわかれる映画だろう。
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