※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

この映画のテーマはズバリ「愛」。

普遍のテーマであり、その分「ありふれたテーマ」でもあるが、この作品は2人の生涯を描くことで一貫した愛の表現に成功している。

断片的な「愛」ではない所が重要なポイントだ。

だからこそ、最初に老人となった主人公2人が登場するのである。

映画は老人男性が、もう一人の老人女性に小説を読むところからスタートする。

その小説の内容は、主人公ノア(ライアン・ゴズリング)とアリー(レイチェル・マクアダムス)が出会い、恋する物語だ。

ノアは労働階級であり、アリーは富裕層。まぁ少しありふれた設定ではある。

そして、冒頭の老人女性が小説の中のヒロインであるアリーであることがすぐにわかる。

それが服装だ。

令嬢だったアリーは、老人になった今でも身だしなみに気を付けているという描写がわかりやすく、性格的なものも含めて冒頭で表現されている。

これは「認知症」という難しいテーマを扱いながら、見事な演出だと思う。

2人の思い出を読むことで、アリーの記憶を蘇らせたいと願うノアの切ない物語なのである。

 

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ライアン・ゴズリングが素晴らしい

この作品はライアン・ゴズリングとレイチェル・マクアダムスの主人公2人がとにかく素晴らしい。

特にライアン・ゴズリングは表情だけで気持ちを伝えられる凄い俳優だ。

言葉にできない想いを『目』で訴えかけるのである。

ラ・ラ・ランドのラストでの表情も素晴らしいが、本作ではそれがじっくり堪能できる。

 

撮影では仲が悪かった2人

作品では素晴らしい演技をした2人だが、撮影中は非常に仲が悪かったようである(笑)

良い作品にしようとするあまり、すれ違ってしまったようである。

ただ、撮影後の2005年は恋仲になったので、ちょっと不思議な感じはする。

 

観たときの年齢で感じ方が変わる

この映画は基本的にいつみても素晴らしく感じるはずだ。

しかし、30代になった時、40代になった時、50代になった時、60代になった時で感じ方は変わる。

例えば、40代、50代で妻をこれほど愛せる男はそんなにいないと思う(笑)

オスは本能的に外で獲物を捕ってこなければならないので、妻にベッタリ過ぎると逆に嫌われる(笑)

ただ、子育てが一段落して60代になれば、それは感謝で愛が溢れるかもしれない。

20代は、この燃えるような恋に心をときめかすはずであろう。

ただ、自分が死ぬ時は、この映画のような終わり方に憧れる。

 

小説はアリーが書いたもの

この映画のもっとも感動するシーンは、小説の著者が誰かわかった時だろう。

ノアが小説を読んでいるし、詩を書くのも好きだったことから、ノアが作った小説だと誰もが思うはずだ。

しかし、小説の最後に「アリー・カルフーン著」の文字があり、これはアリーが書いたものだとわかる。

そして、さらにその下には「これを読んでくれたら私は、あなたの元へ」と書いてある。

つまり認知症の気配がでた時に、アリーはこれを書いたのである。

2人の物語を聞くことで、少しでも自分の記憶が戻ることを願って。そして2人の愛をいつまでも忘れないように・・・

その結果、ノアは一緒に施設に入り、何度も何度もアリーの書いた小説を読み続けてきたのであった。

 

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