※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

ロッキーは単なるボクシング映画ではなく、ロッキーというキャラクターを丁寧に描いたことが成功した理由だろう。

誰がどうみても、めちゃくちゃ「いい奴」であり憎めないキャラなのだ。

それが人との触れ合いで、不器用ながらも応援される姿に感動するのである。

恋人、友人、トレーナーなど「立ち上がるきっかけ」がロッキーの目の前に現れ、それに応える為に努力する姿に胸が熱くなる。

現にボクシングのシーンはラストの10分程度。

後は、ロッキーの人生ドラマを丁寧に描くストーリーなのである。

 

スポンサーリンク

 

あらすじと感想

恵まれた才能があるのに、なかなか運が掴めないロッキー。

ファイトマネーだけでは食べていけず、借金取りというヤクザな仕事で生計を立てている。

こういったボタンの掛け違いによって、トレーナー・コーチからも見放される状態が10年も続いていたのだった。

ただ、借金取りといっても、相手を恐喝できるほど腐っているわけではなく、「指を折ったことにするから包帯をまいて隠しておけ」など、非常に優しいのである。(取り立てに全然向いてない^^)

しかも、動物が大好きで、夜遊びしている子供がいればお節介をやく。

この設定だけで大人はロッキーに共感し、子供もロッキーに心を掴まれるのである。

そんな中、世界チャンピオンのアポロが次に対戦する相手が負傷欠場となってしまう。

次に対戦する挑戦者を決めるため、ロッキーが選ばれたのである。

アポロは自分のプロモーションの為に、「いままでチャンスがなかったボクサーと対戦する」という姿をみせることで、さらなる人気を狙ったのである。

しかも、ランクが低い相手であれば負けるはずもない。

まさに一石二鳥のアイディアでロッキーを挑戦者として指名するのだった。

しかし、ロッキーからみれば『最後のチャンス』。

アポロの実力は十分に理解しているが、やっと巡ってきた運に全てを賭けるのである。

 

スポンサーリンク

 

トレーニングの始まりは生卵の一気飲み

この映画は、やはり『努力』というテーマも重要な要素だ。

アポロとの対戦が決まり、本格的なトレーニングを始めるロッキー。

朝の4時に起きて、生卵を一気飲みするのだ(笑)強さに憧れたキッズは、絶対にこれ真似すると思う(笑)

そして、町をランニングするのだが、残念ながらバテバテ・・・

しかし、ここから怒涛の練習がはじまり、最終的にはバテないスタミナを手に入れるのであった。

 

 

朝焼けにガッツポーズをするシーンは、自分を乗り越えたロッキーの歓喜であろう、感動的なシーンである。

 

スポンサーリンク

 

ミッキーとの和解

 

ボクシングが題材の映画といえば、やはりトレーナーとの関係だ。

トレーナーと二人三脚で練習して、試合に臨むことが重要だ。

さて、本作では冒頭からロッキーとトレーナーであるミッキーとの仲は険悪だ。

ロッキーからみると、10年前からしっかり見てほしかったと主張。

しかしミッキーからみると、タバコを吸ったり酒を飲んだり、借金取りをしたり、素質はあるので自分で棒に振ったと思っている。

アポロとの対戦が決まり、チャンスが巡ったのはロッキーだけではなくミッキーも同じだ。

だからこそミッキーは和解をもちかけた。

しかし、ロッキーは今までの恨みで追い返す。

でも、心の中では自分の弱さが招いたことを知っているロッキー。

寂しそうに帰るミッキーであったが、ロッキーは追いかけ、握手をかわすのである。

このシーンは後ろ向きで何を話しているかはわからない。

しかし、ロッキーとミッキーの10年をこの後ろ姿だけで表現する演出は見事だ。

お互い本気で憎しみあっているわけではないのである。

ミッキーはロッキーを常に奮い立たせようと努力をした。

しかし、ボクシングだけでは生活できないことから、心の弱さが出てきてしまい、本当は尊敬しているミッキーに八つ当たりしていたのだ。

この後ろ姿は、こういった背景がしっかり表現されており、言葉で表現しなかったことが2人の師弟関係の奥行を出している。

 

エイドリアン

忘れてはならないのが恋人エイドリアンの存在だ。

友人ポーリーの妹で、第一印象は『地味』。

言葉や態度がゴロツキ風のロッキーが好きになるような女性ではない所が最高に良いのである。

そして、不器用だけど自分の意思を貫くロッキーに惹かれていくのであった。

出会う人になかなか理解されずにいたロッキーに対して、ロッキーが決して孤独ではないことを伝える。

そして、ロッキーもそれに気づき、2人の愛はさらに燃えていくのである。

 

勝敗を超えた感動のラスト

試合の前に「もし15ラウンドまで立っていることができたら、自分はゴロツキではなかったと証明できる」とエイドリアンに語るロッキー。

3流ボクサーと世界チャンピオンの差はロッキーが一番わかっているのだ。

勝てる見込みはないが、最後まで経ち続けてやる!という闘志を燃やすのであった。

そして試合は壮絶な打ち合いとなり、ロッキーが勝つかのように見えた。

ここ、初めている人は絶対にロッキーが勝つと思うだろう。

しかし、15ラウンドの判定に持ち越すのである。

この判定の時間も、初めている人はロッキーが反転勝ちするに違いないと思うはずだ。

しかし、当のロッキーは・・・

「エイドリア~ン!!!」の連呼。

勝敗など、どうでもよいのである。

エイドリアンと約束した15ラウンドまで戦えたことに最高の充実感を得、幕を閉じるのである。

当時この映画をみていた子供達は、「勝敗」についてもう一つの意味を学ぶのであった。

 

スポンサーリンク