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※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

1度しか使えないアイディアは貴重だ。

例えば、ヒーロー物やアクション、エイリアン系など、使いまわせる設定というのは多々ある。

しかし、本作『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』はこれからも続くであろう映画の世界で1回しか使えない設定なのである。

『片方が若返っていくラブストーリー』

この超絶アイディアは、次に誰かが真似をすれば「ベンジャミン・バトンの真似」というレッテルを貼られてしまい、オリジナルは絶対に越えられないのである。

だからこそ、このアイディアを閃いた時点で、歴史に残るラブストーリーは確定したのだ。

赤ちゃんが80歳の状態で生まれ、幼馴染と恋をし、お互いの年齢が均衡する最高のタイミングと、そこから交差していく年齢に対する苦悩。

通常であれば、同じように歳をとっていくはずなのに、それができないもどかしさ。

この普通では考えられない苦悩を疑似体験し、人生について深く考えるきっかけを作ってくれる映画でもある。

ただし、実話のようにリアルに物語が展開するので、若返っていく能力を使って突拍子もないようなことをする作品ではない。

静かに進んでいくストーリーに、ただ涙を流すように作られているのだ。

ただ、このアイディアなら若返る設定で、突拍子もないことをして大きく展開していくのもアリだと思う。

それだとコメディになってしまう危険性はあるが(笑)

 

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あらすじと感想

主人公のベンジャミンは80歳の状態で生まれ、成長していくにつれ若返るという運命を持っている。

老人の容姿をしたベンジャミンをみて、父親は老人養護施設に捨ててしまうのである。

そんな中、老人養護施設で働く黒人女性に拾われ、大切に育てられていく。

老人養護施設では、死を待つ老人が集まっており、このベンジャミンの設定と施設の環境は非常に考えさせられるのである。

容姿は施設の老人と同じ。

しかし、精神はまだ子供なのである。

そこで様々な体験をしながら成長していくのだ。

そして、施設に入居している老婆の孫娘デイジーと運命的な出会いをする。

精神年齢は近いベンジャミンとデイジー。

しかし、容姿は真逆なのである。

2人はどんどん成長し、別々の環境にて生活をしていた。

26歳になったベンジャミンは「おじいちゃん」から「おじさん」くらいに若返っており、女性との体験や、戦争なども経験していた。

そんな中、バレエダンサーとして活躍するデイジーの元へ向かう。

しかし、都会での生活に慣れているデイジーに対して、自分の容姿も含め、すれ違ってしまうのだ。

こういう演出により、容姿と精神年齢の微妙なズレをリアルに表現しているのが、この映画が『実話』だと思わせてしまうテクニックである。

そんな中、事故によりバレエダンサーを断念したデイジーが、ニューオーリンズに帰ってくる。

ここで初めて2人は気持ちと容姿が重なるようになる。

ここから2人は幸せな甘い生活を送るようになる。

様々な試練に打ち勝ち、運命的に結ばれる2人に対して、視聴者は心から拍手を送るのだ。

そんな中、デイジーは妊娠する。

最高にハッピーな展開だが、ベンジャミンの運命を忘れてはならない。

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自分はどんどん子供になっていくのだ。

それは、やがて成長する子供よりも、幼くなるのである。

考えただけでも辛い。

そういう葛藤から、ベンジャミンはデイジーと子供から去ってしまうのだ。

もちろん愛する子供とデイジーと一緒にいたい。

しかし、自分はどんどん若返る運命。

その運命を受け入れ、様々なことにチャレンジしていくベンジャミン。

やりたいことは、年齢に関係なくやれる

父としての背中を、葉書によって見せていく姿は感動的だ。

そして、数年後、デイジーは新しい夫と生活をしていたが、ベンジャミンは1度だけ戻ってきてしまう。

ここも非常に切ない。

どんどん大人になっていく自分の子供。

どんどん子供になっていく自分自身。

ここで、デイジーと子供のもとから去ったことについて、正解だったと確信するのである。

そして、時は流れ、ベンジャミンは認知症となってしまう。しかも容姿は子供となって・・・

ベンジャミンの荷物から、デイジーとの繋がりがわかり、デイジーのもとへ連絡が入る。

少年→幼児→乳児へと歳をとるベンジャミン。

そして、すっかり老婆となったデイジー。

最後はデイジーの腕の中で、静かに息を引き取るのである。

最後まで一緒にいれたデイジーは幸せだったのか?

そして、愛するデイジーの腕の中で死ねたベンジャミンは幸せだったのか?

娘キャロラインに、この数奇な日記を読んでもらい、デイジーも永遠の眠りに就くのである。

 

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