※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
「ショーシャンクの空に」をはじめて観たのが高校生の時だった。
近所のレンタルビデオ屋さんが大々的に宣伝していたので、つい借りたことがきっかけだ。
高校生の時に観た衝撃は確かに凄まじいものがあった。
ラストへ向かう展開は、高校生ながらに「大人の友情とはこういうものだ」というのを理解できるほど感動的であり、そして爽快感の波に酔いしれることができた。
ただ、まだ人生経験も浅い時だったので、やはり感情的な場面を理解することができなかったのも確かだ。
それは、何と言ってもブルックスの自殺だ。
ブルックスは50年も服役していた老人であり、それが仮釈放となるのだから本来は「嬉しいこと」と解釈するはず。
しかし、ブルックスの選んだ道は「死」だった。
当時、高校生だった私は、この辺のニュアンスがわからなかった。
もちろん、50年も閉ざされた世界に生きてきたので、すぐに社会に適応できないのはわかる。
しかし、それが自殺するほどのものか?当時は理解できなかった。
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30代になって観た感想
「ショーシャンクの空に」は10代・20代・30代と約10年おきに観ている。
意識しているわけではないが、やはり何回も観てしまう映画だ。
30代となった私が「ショーシャンクの空に」を再び観たとき、それは別物の映画になっていた。
それが、先程記載したブルックスの「死」だ。
30代になって普通に仕事をしていると毎日がとにかく「早い」。
20代の頃を忘れてしまうくらいのスピードで時間が進んでいく。
また、家庭を持つと、さらにスピードが上がる感じだ。
意識しないでいると、何をやったかわからないほどに時間が加速していく。
こういった時の中で「このまま毎日同じことの繰り返しでいいのか?」という葛藤が生まれてくる。
友達と飲みにいった時などに、同じようなことを質問するが、ほとんどの友達が共感することだ。
とにかく時の流れが早い。
こんな環境で、もしも、全く別の環境に強制的に行かされたらどうなるか?
ついて行けるか?
恐らくついて行けないと思う。
社会に普通に生きていても、別の環境になるのは怖い。
これが50年も服役していた老人だったらどうか?
想像を絶してしまうだろう。
その他、観るべきポイント
「ショーシャンクの空に」は脱獄トリックにビックリする映画ではない。
そして、意外と脱獄トリックに対する伏線はフェアに仕掛けられている。
その最も重要なポイントは、毎週州議会に図書館予算の請求を送るという行為だ。
これを6年続けて、ようやく予算がでる事になる。
さらに主人公はこう言う「たった6年で予算がでた。これからは週に2回送ろう」
これである。
私はこれが、この映画の影の名場面だと思う。
アンディが長期的な思考の持ち主であり、不屈の魂を宿す人間であると、ここで観る側は理解できる。
これにより、「壁に穴をあけて脱獄する」というゴールが突拍子もないことではなく、アンディは最初から戦っていたということを潜在的にわからせることに成功したのである。
・予算の請求を毎週送る
・所長の不正蓄財の隠蔽工作
・そして、壁に穴をあける
投獄された初期から、希望を失うことなく戦い続けていたのである。
最後は投獄初期の「希望を持ってはいけない」というレッドの言葉がフックとなる。
メキシコの青海で再開を果たしたアンディとレッド。
そこには生きる希望を持った2人の男が抱き合って終幕となる。
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