※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
男2人、女1人がシェルター(密室)に閉じこもったら・・・
これだけでも面白い。
しかも、その中の1人がめっちゃ怪しいオッサンだったら・・・
これだけでもハラハラ・ドキドキしてしまう。
10クローバーフィールド・レーンはほとんどのシーンがシェルター内で繰り広げられるサスペンス&SF映画だ。
この3人の心理合戦、状況を少しずつ把握していく展開が非常に良く出来ている。
悪い人だと思っていたら、実はいい人だった。
いい人だと思っていたら、実は悪い人だった。
この疑心暗鬼、心の揺さぶりが絶妙なのである。
その効果を左右するシェルターの持ち主であるハワードは、太った大男であり存在感が凄い。
この怪しい大男が、この映画の軸となる。
なぜシェルターを作ったのか?
なぜミシェルを助けたのか?
なぜ親切なのか?
なぜ娘のことをよく話すのか?
本当に怪しいのか?
で、外は一体どうなってるの?
視聴者は限りあるヒントで、考察していくしかないのである。
3人のキャラクターだけで、ここまで展開できる脚本は本当に凄い。
しかも、大男の他に、外の世界も気になるし、一度見始めたら最後、目が離せなくなるのである。
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ハワードは本当に悪いヤツだったのか?
この映画の見どころはハワードのキャラクターだろう。
ミシェルの手当をしたり、食事を作ってくれたり、シェルターでかくまってくれたり、紳士的な表現が目立つ。
ミシェルに疑わられ、花瓶で目元を傷つけられても許すような心の広さもある(笑)
物語の中盤、外の世界が本当に攻撃されていたことを知り、ハワードの言っていることは正しいと、視聴者も納得し心を許す。
2人の子供を育てている優しいお父さんのようにもみえる。
ただし、『異常さ』も多々みうけられる。
例えば、必要以上に謝らせたり、連想ゲームで少女の特徴を連呼したり、変な雰囲気は常にあるのだ。
これが結構リアルで怖い。
狂気的な人物は、変なところで怒ったり、冗談が通じなかったり、極端な選択をしたり、イマイチ読めない。
ミシェルとエメットが脱出の計画をするが、それが見つかってしまう。
エメットはミシェルの為に嘘をつく。
しかし、それを真に受けたハワードは瞬時にエメットを殺してしまう。
これは、ミシェルの身も案じている描写だ。
つまり、自分を裏切ったという怒りより、自分とミシェルの身を守る為という、非常に偏った正義感をも演出している。
だからこそ、その後のシーンでは髭を剃っている。
偏った正義感により、ミシェルを守ったと自負し、男としてアピールしているのである。
この辺の演出は凄い。
ホラー映画のゾンビでは表現できない『人間の恐怖』を演出しているのである。
そして、最後までミシェルへの感情がわからないまま、シェルター内で朽ちていくのだ。
このハワードの異様さが、映画のクオリティを高めている。
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10 クローバーフィールド・レーンのあらすじ
交通事故に巻き込まれたミシェル。
気づくと部屋に監禁されていた。
そこに出てくる大男のハワード。
食事を用意してくれている。
めちゃくちゃ紳士なのである。
ミシェルが落ち着いた所で、世界の状況を説明する。
ここはシェルターの中であり、外の世界は何者かの攻撃を受けているらしい、と。
戦争なのか?核爆発なのか?それとも宇宙人なのか?
それはわからない。
ただ、外にでると敵のガスにより汚染されてしまうのだ。
そして、シェルターにはエメットという男も避難していた。
ハワードがしょうがなく助けたのだ。
そこから、男2人・女1人の奇妙な生活が始まる。
ハワードが『敵』ではないと安心するミシェル。
皆でディナーや、パズルなどをして楽しむようになる。
スポンサーリンクそんなある時、換気装置が壊れたので、ダクトの中から修理して欲しいというハワードの要望を受けるミシェル。
換気装置の部屋へいき、見事修理が完了した。
しかし、そこにはヘルプと書かれた窓や、血の付いたイヤリングが・・・
このイヤリングは、ハワードが見せてくれた娘のイヤリングと同じ・・・
つまり、ハワードの話は嘘で、少女を監禁して殺害した、殺人犯だったのである。
そこからミシェルとエメットの脱出劇がはじまる。
ガスに感染しなように、防護服を作り、ハワードの銃を奪う計画を立てる。
しかし、ハワードに見つかってしまうのである。
エメットはミシェルを庇う為に嘘をつくが殺されてしまう。
エメットの嘘のより、難を逃れたミシェルであったがハワードと2人きりの生活に危険を感じ、防護服の完成を急ぐ。
しかし、その防護服もハワードに見つかってしまい絶体絶命のピンチに。
何とかハワードから逃れ、いよいよ外に出たミシェル。
あまりの静けさに、攻撃が嘘のように感じたが、シェルターが爆発すると、それを察知した宇宙船が突如現れた。
みるからに凶暴そうなエイリアンもいる。
ハワードの言っていた『攻撃』は本当だったのだ。
そんな中、ミシェルの車に残っていた酒の瓶を利用して、火炎瓶を作ることに成功する。
それを宇宙船の口(入口)に投げ込み撃退成功!
他の地区もエイリアンに攻撃されており、戦える人はヒューストンに集結せよ、というラジオを車できく。
ミシェルは逃げずにヒューストンに向かうのである・・・
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10 クローバーフィールド・レーンのラスト
シェルターから脱出したシーンはさらに凄い。
まず『静寂』
汚染されている雰囲気も、攻撃されている様子もない。
鳥も普通に飛んでいる。
「これ、本当に攻撃されていたの?」
「ガスに汚染されていた女性は、誰かに頼んでいたんじゃない?」
視聴者の頭をクリーンしてくれる時間が流れる。
しかし、シェルターが爆発すると急展開する。
やはりエイリアンがいたのである。
火炎瓶でやっけられるエイリアンということで、絶望するほど強くはない。
女性一人でも倒せるのだ(笑)
そして、エイリアンを倒したミシェルに決断が訪れる。
エイリアンがない土地に逃げるか?
エイリアンと戦う為、ヒューストンに行くか?
作品の中盤でミシェルは、ホームセンターで遭遇した虐待する親の話を回想する。
しかし、何もできなかった自分を責めるのである。
この辺が伏線となり、ヒューストンに向かわせたのだろう。
完全には完結しないが、恐らく勝利できそうな希望はある。
この様な、様々な「含み」を持たせる10 クローバーフィールド・レーン。
気持ちを変化させたり、刺激が欲しい人にはおすすめの映画だ。
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