※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
ミステリーの女王アガサ・クリスティの名作「オリエント急行殺人事件」の映画化作品である。
アガサ・クリスティといえば「あっと驚く」最高の罠を読者に与える達人だ。
「アガサ・クリスティの小説だから」と構えて読んでも、ラストに騙されたり、爽快な気分を味わうことができる。
そして、本作「オリエント急行殺人事件」もそんな爽快な騙され感を味わうことができる映画だ。
驚きのトリック、仕掛けについて
ここからはネタバレを含みますので、まだ観てない方は読まない事をおすすめします。
せっかくの名作なので、是非ラストのカタルシスを味わって欲しい。
では、一応警告したので感想を続けることにする。
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アガサ・クリスティの作品は、毎回ラストの驚きがあり、トリックというよりも世界が反転する仕掛けを楽しむことができる。
よほど人を驚かすのが好きだったのであろう。
今回の「オリエント急行殺人事件」もピュアの心で観はじめると、意外なラストに衝撃を受ける。
関係者全員が犯人という「まさか」の展開は、もう「参りました」と頭を下げるしかない。
犯人は1人という固定概念を見事に壊してくれる作品だ。
しかも、それは読者も推理可能なようにフェアに仕掛けられている所が素晴らしい。
例えば今回の場合、関係者13人(内2人同時)が被害者を刺していったのですが、傷の深さの説明などもあり、トリックに気付く人も結構いたはずだ。
一見、全員関係ないように装っているが、実は何かしらの繋がりがあるというオチも見事だ。
それぞれの復習、そして、それをまとめ上げるポアロの立ち回りも良い。
ラスト、ポアロは2つの仮設を立てるが「外部犯行説」を警察に提出する同情をみせるのもポイントだ。
トリックを暴けば自分の名誉を高めることができる、しかし、それよりも「正義」を選ぶラストが最高なのである。
正義というと、「悪いことは悪い」と思うかもしれないが、そもそも正義とは何?ということになる。
罪を犯して逃げ回る被害者(=犯人)に関係者皆が協力して裁きを与える、これも正義だ。
悪の対となるのが正義であって、正義というのはそもそもない。ただの概念である。
それを汲んだポアロも素敵だが、皆がワインで乾杯するのも素敵だ。
古畑任三郎であれば「罪は罪です」というセリフが聞こえてきそうだが^^
映画の方は俳優も豪華なので、小説を読んだ後でも十分満足して鑑賞することができるだろう。
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