※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

私は何の予備知識もいれないまま映画を観るので、この「フォーン・ブース」を始めてみたときは度肝を抜かれた。

なぜなら、舞台は「電話ボックス」ただ一つだからである。

電話ボックスだけで1本の映画を作ってしまった斬新なアイディアが凄い。

しかも、一定のシチュエーションなのにまったく飽きさせない展開が素晴らしい。

骨格にあるのは「電話を切ると撃たれる」という緊張感だ。
この緊張感が最後まで持続される。

 

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フォーン・ブースの評価すべき点

電話ボックスのみでサスペンスを完結させる点も素晴らしいが、キャラ設定もお見事である。

主人公(コリン・ファレル)は胡散臭いメディアコンサルタント。

自分の利益のために嘘もつくし、人を平気で傷つける。

そんな主人公が浮気のために電話ボックスを使うことでストーリーが展開する。

携帯電話だと妻に履歴でバレるからだ。

ここまでの描き方では、観ている側は主人公に感情移入ができない。

しかし、一点だけ「救い」がある。

その「救い」を表現したことで、犯人に狙われた時の同情する余地を残している。

では「救い」とは何か?

それは、浮気相手に電話をする時に指輪を外すことだ。

この動作があることで、なんとか観ている側の同情を繋ぎとめておくことができた。

つまり、どうしょうもない主人公をしっかり描きつつ、観客から見放されない「つなぎ」をさりげなく残している点が秀逸なのである。

 

フォーン・ブースの意外な結末

主人公は民衆の前で浮気を懺悔する、ここが犯人の着地点だった。

この後は警察からゴム弾を打たれて、主人公はようやく安全を確保できるようになった。

そして、犯人の部屋をつきとめた警察がみたものとは、自殺した犯人であった。

しかし、なんとその犯人は物語の冒頭で登場したピザ屋のオヤジ。

他に真犯人がいるということである。

そんな真犯人は最後に、意識がもうろうとしいる主人公と対面し、その場から立ち去るという結末だ。

犯人の真の目的が読めないサイコパス的な要素が、最後まで恐怖を与えてくれる。

つまり、最後の最後まで「緊張感」を持続させるという、とんでもない映画なのだ。

 

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