※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

宮部みゆきの代表作でもある「模倣犯」の映画化作品である。

原作のボリュームに対して、2時間でまとめなければならい成約があり、映画化は苦労したと思われる。

よって、原作ファンからすれば「とんでもない作品」となってしまっている。

ラストも全然違うし、別物だと考えたほうがよい。

ただ、監督の自己満足というべき「遊び心」もあり、自分が作りたかったであろう「模倣犯」をアレンジし挑戦的に仕上がっている。

ネタバレになるが、ラストで中居君の頭が飛ぶ。

これはもはや「ギャク」であり、原作ファンと中居君ファンを同時に敵に回すことになっている。

しかし、そんなのおかまいなしにあのシーンを躊躇せずに作品に取り入れた監督の美学には、ある意味「勇気」をもらうことができた。

スタッフの誰かが「監督、このシーン変ですよね?」という人はいなかったのか?

その様な勇気あるスタッフがいても、自分の道を突き進んだのか?現場に興味が湧いてくる。

また、中居君とパートナーの津田寛治も少し違和感がある。

語尾に英語を挟むのが似合わなかったり、作品中の衣装も違和感を感じる。

 

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ラストはあり?なし?

原作との一番の違いは、ピースが自分の赤ん坊を鞠子の祖父である有馬義男に託すことだろう。

コツコツ時間をかけて作り上げたピースというキャラクターが、監督の勘違いで対極のキャラクターへと変貌してしまう。

原作者である宮部みゆきは、『模倣犯』の試写会のときに途中で帰ってしまったそうだ。

途中で帰るというのも衝撃的だが、これでよかったと思う。

ラストまで観てしまったら発狂していたであろう。

その点、途中までで済んだことは不幸中の幸いである。

まだブロードバンドやスマホが普及していない時代において、ネット配信で犯行を行うという宮部ゆみきのアイディアは流石である。

ただ、そのとんでもないアイディアでさえ、うまく映像化できていないのは残念である。

爆笑問題の2人が、そのネット配信を見ながら事故るという演出になってしまっている。

ここをリアルに描くかどうか?で作品の評価も変わってきたと思う。

ただ、ミュージックビデオのような雰囲気にしたり、ネットの掲示板を映像とミックスさせたり、監督独特の表現方法を「おしゃれ」に感じれば楽しめるであろう。

 

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