※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

『コンタクト』は宇宙人との交信がメインテーマであるが、その宇宙人は登場しない。

よって、宇宙人との闘いや、SF的な描写はほとんどない。

地球外生命体の存在を巡る科学と宗教がバックボーンとなり、その反応を描いた作品なのである。

主人公のエリー(ジョディ・フォスター)は天文学の研究者であり、科学的な証拠・根拠によって真実を判断する。
よって、証明できない「神の存在」は否定的であり、無神論者的立場の人物である。

そんなエリーの恋人役・パートナーを務めるのが、パーマー・ジョス(マシュー・マコノヒー)。

パーマーは神父を目指していたほど信仰心があり、「神の存在」を確信している。

宗教的な権威となり、政府の宗教顧問を担当している。

この2人が宇宙の謎に迫るから面白い。

無神論者の科学者と、政府の宗教顧問。

そして、演じるのがジョディ・フォスターとマシュー・マコノヒー。

この2人の演技はSFというジャンルにおいて、説得力と臨場感を持たせてくれる素晴らしい役者である。

 

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あらすじ

「地球外知的生命体探査」に取り組むエリー。

しかし、一向に手掛かりがつかめない現状に対して、予算がカットされてしまうのであった。

エリーは独自のスポンサーを得、ニューメキシコで探査を再開できるようになる。

そしてある日、いつものように電波信号を調べていると、なんとヴェガからの受信に成功するのであった。

信号は断続的な音であり、それは「素数」を表現しているのであった。

つまり偶然的な信号ではなく、知性があることの証明でもあるのだ。

さらに受信データを調べていくと、様々な情報データが含まれていることに気づく。

なんと、ある装置の設計図のデータが含まれていたのであった。

この設計図を解読していくと、どうやら移動装置だと判明する。

つまり、時空を超える移動装置ではないか?という結論に達するのであった。

宇宙船のように物理的に移動するのではなく、電磁波によってワームホールを作り出す装置なのである。

そして、この装置に乗るのは・・・

 

宇宙への移動装置

莫大な費用をかけて作った移動装置。

乗組員に選ばれたのはエリーの上司だった。

乗組員を決める審議会でパーマーが「神の存在」をエリーに質疑したのである。

地球の95%が何らかの信仰心を持っているのに、「神の存在」を信じないエリーは乗組員に相応しくないという結論になってしまう。

これはパーマーがエリーを心配することで、あえて落とすようにした質疑であった。

もし、宇宙人にあったとき「神の存在」を表現するのは非常に重要なことなのである。

乗組員に落とされたエリーであったが、いよいよ移動装置を実施するときに事件が起こる。

カルト宗教家が自爆テロを行い、装置を破壊してしまうのだ。

これにより、移動装置は破壊され、エリーの上司も亡くなってしまった。

今までの苦労が水の泡になってしまったが、なんとエリーのスポンサーを務めた大富豪のハデンから連絡が入る。

なんと、もう一台極秘に北海道で移動装置を作っていたのである。

そして、その乗組員に選ばれるのはエリー。

今度はセキュリティ万全で臨むであった。

 

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リアルな宇宙人とのコンタクト

宇宙空間へワームホールするこの移動装置のデザインは素晴らしい。

まるで原子と原子核のように、高速で回り何等かのエネルギーを出力するのである。

そして、乗組員が入った丸いコクピットを落とすのである。

唯一のCG・SFシーンであり、迫力も十分だ。

そしてコクピットが落ちた瞬間、エリーはワームホールで宇宙空間へ旅立つ。

それはまるでトンネルのように、高速で宇宙を移動していくのであった。

そして、いよいよヴェガへついたエリーが見たものは?

何とエリーが子供の頃に亡くなってしまった父であった。

しかし、これはエリーの記憶から読み取った「形」であり、本来の姿ではない。

メッセージを送った目的を訪ねるエリー。

宇宙人の答えは、「孤独の解決」であった。

この広い宇宙の中、生命体は他にも存在している。

そして、生命体が行き着く最終地点は「孤独」なのだ。

パーマーも物語中盤で語っていたが、人間は孤独を埋める為に物質を消費することで解決しようとする。

そして、その行為はさらに孤独を生み出すのだと・・・

その答えを宇宙人は提示するのである。

ただし、その為には長い年月をかける必要があると・・・

ここで裏のテーマが演出され、作品はさらに哲学的に深いラストをむかえるのである。

 

ワームホールを証明できないエリー

このヴェガでの出来事は、エリーにとって数時間のことであった。

しかし、実際はコクピットがただ落ちるだけの現象だったのだ。

よって、政府はこの実験を「失敗」と結論づける。

しかし、エリーは間違いなく体験したことであり、しっかりと覚えている。

でも・・・

それを証明できる方法はない。

「幻想をみていた」と思われてもしょうがないのである。

証明できないからである。

科学者であるエリーは、「神の存在」が証明できないから無神論者である。

しかし、エリーは証明できない体験をしてしまった。

そして、それを信じるパーマー。

非常に素晴らしいラストだ。

科学と宗教、そして哲学の答えのヒントがちりばめられている名作である。

「孤独」への答えが歴史や文明なのかもしれない・・・

 

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哲学的な名言

『コンタクト』は非常に哲学的なテーマであり、セリフも洗練されている。

そこで最後に『コンタクト』で登場した名言を振り返ってみる。

 

パーマー・ジョス(マシュー・マコノヒー)の主張

今ほど人間が孤独だった時代はない。人工的な環境の中で次々に新しい刺激を求め、人生の意味を失っている。

味気ない仕事、騒々しい休暇、カードで買い物をして物欲でむなしさを埋める、これでは救いがない。

人々は人生の意味に最も飢えている。科学がそれを奪ったのだ。

 

エリー(ジョディ・フォスター)が移動装置に乗り込む時

なぜ人間はここにいるのか 一体何者なのか?その答えが一部でも見つかれば命を懸ける価値があると思わない?

 

神の存在を信じないエリーに対してパーマーの答え

キミは父親を愛していた?その証拠は?

 

宇宙人に1つだけ質問できるなら何を質問するか?という質疑に対してエリーの答え

うまくやってこられた理由を。進歩する技術をどうコントロールして自滅を回避したか。

 

エリーの父&パーマー

広い宇宙にもし地球人しかいなかったら、宇宙がもったいない

 

 

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