※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
この映画は、ネタバレしてても楽しめる珍しい作品だと思う。
というのは、凄いトリックを使う犯人とか、サスペンス的な要素というのは実は薄い。
ボクはこの作品をはじめて観たのが高校生の時だったが、あのオチに対して「ふ~ん」くらいだった。
それよりも、ラストまでの展開の方が面白かった。
「どんでん返しが凄い」とよく言われるが、この作品より凄いどんでん返しの作品はたくさんある。
しかし、やはりラストの見せ方は完璧だ。
・ケヴィン・スペイシーが普通に歩くようになるシーン
・捜査官クイヤンが壁に貼ってあった固有名詞に気づくシーン
・FAXで送られてきたカイザーソゼの似顔絵
・ケヴィン・スペイシーが乗り込む車の運転手
この伝説的な『畳み掛け』が恐ろしいほど余韻を残すのだ。
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あらすじと感想
爆発と多数の遺体が見つかった船。
この真相を探る為に、唯一の生存者であるヴァーバル・キント(ケヴィン・スペイシー)を捜査官クイヤン(チャズ・パルミンテリ)が尋問していく物語である。
キントは左側の手足に麻痺があるが、詐欺師として前科もある。ただし、詐欺師ということで得意の口を使って刑を免れるのである。
つまり、身体に障害があることで、口を使うことが強調される。
ここが既に『伏線』である。
そして、冒頭の船爆破の回想シーンで、キートンが「足の感覚がないよ」というのも『伏線』である。
この様に、序盤からかなりヒントを散りばめている。
そして、船爆発の6週間前に話は戻る。
6週間前、ニューヨークの警察署に銃器強奪事件の容疑者が5人集められた。
ディーン・キートン(ガブリエル・バーン)…堅気を目指していて弁護士の恋人がいる
ヴァーバル・キント(ケビン・スペイシー)…体に障害があり、主に詐欺が得意
マイケル・マクマナス(スティーヴン・ボールドウィン)忍び込みや、銃撃戦が得意
トッド・ホックニー(ケヴィン・ポラック)爆弾のプロだが、自分勝手な部分がある
フレッド・フェンスター(ベニチオ・デル・トロ)マクマナスとコンビで、おちゃらけているが頭がいい
しかし、結局は立件されなかった。
ただし、この後マクマナスがヤマを持ちかけ、5人はグループとして動くことになる。
ある時、コバヤシという弁護士から依頼を受ける5人。
それが麻薬密輸船の襲撃である。
あまりにも危険な仕事に5人は拒否するが、コバヤシが驚くべきことを離す。
この麻薬密輸船の襲撃はカイザーソゼの命令である、という言う。
カイザーソゼとは悪の中でも伝説的な存在で、正体は謎だが確かに存在する人物だったのだ。
それでも拒否しようとする5人だったが、コバヤシにあるファイルをみせられる。
それは、それぞれのメンバーの詳細な個人情報だった。
しかも18歳からの記録であり、家族の情報なども筒抜けなのである。
これは強烈な脅しであり、やらなければ大切なものを無くすという脅迫だ。
しぶしぶ作戦を実行する5人だったが、作戦を進めるうちに驚愕の事実を知る。
なんと、その船には麻薬などなかったのだ。
では、なぜこの襲撃を行ったのか?
それが、この話のどんでん返しの核心なのである。
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カイザーソゼの目的は何だったのか?
ケビンスペイシーの作り話というのが強烈なので、カイザーソゼの目的というのがピンとこないで終わってしまう。
しかし、船爆破事件は実際にあった事件で被害者もいる。
どこまで嘘で?どこまでが本当なのか?
結構わかりにくく作られている。
まず、カイザーソゼの目的は何か?
麻薬密輸船に乗っていたアーカッシュ・コバッシュを始末することだ。
なぜなら、正体を知られているから。
自分(カイザーソゼ)の正体を知るアーカッシュ・コバッシュは、その正体を他のマフィアに売ろうとしていたのだ。
なぜなら、カイザーソゼがいなくなれば麻薬取引のシェアが奪えるからである。
だからこそ、カイザーソゼの情報は高く売れるのだ。
そんな危険人物アーカッシュ・コバッシュの始末が最優先の目的である。そして、それは自分の手で確実に行わなければならないのである。
スポンサーリンクでは、なぜ5人に船を襲わせたのか?
それはキートンを真犯人にする為である。
キートンをカイザーソゼにし、捜査の目をそらすのであった。
矛盾点(野暮だけど)
「ケビンスペイシーの作り話だったのか~、ひぇ~騙された~」と綺麗に終わるのもよいのだが、少し矛盾点もあり、野暮だが考察してみる。
まず、なぜ後から嘘だとわかる供述をしてしまったのか?
部屋の壁や、コーヒーカップの裏に記載されているメーカー名にて、捜査官クイヤンは「作り話」だと気づく。
ただ、これは時間の問題であり、いずれ気づかれてしまうことだ。
顔も見られているので、カイザーソゼがバレてしまった。
あれだけ周到に計画した船の襲撃もこれでは水の泡ではないか?
「顔を変えるから大丈夫」
えっ?それならカイザーソゼの顔を知るアーカッシュ・コバッシュを始末した意味が・・・
もちろん、映画の演出的な要素があるのでこんなことに突っ込んでいたら野暮だ。
しかし、捜査官クイヤンが気づく固有名詞を使わずに作り話が出来ていたら、完璧だったと思われる(笑)
あっ、でもFAXで送れらて来ちゃうからどちらにせよダメだ(笑)
それとも、鉄の意思のエピソードのように、1人だけ生き残らせ恐怖を演出するのが目的だったのか?
最後のどんでん返しに重きを置き過ぎて、何となくスッキリしない終わり方である。
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