※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。

中々意味がありげなタイトルである『カオス』。

『混沌』とか『無秩序』などを意味するが、このタイトルによって視聴者は相当構えてしまう。

だからこそ、犯人の目ぼしは最初の方でついてしまうのだ。

ただ、ストーリー展開は非常に面白い。

トレーニングデイのように、ベテラン刑事と、新米刑事がコンビで事件を解明していく。

冒頭の銀行強盗のシーンも緊張感があり、スタートから引き込まれていく。

大規模な銀行強盗なのだが、犯人は何も盗まずに逃走・・・

この目的を解いていく物語なのだが、ここがミスリードとなり、「カオスとは、犯人の目的のことか?」と欺かれるのである。

 

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あらすじと感想

ローレンツと名乗る強盗団がグローバル銀行を襲撃する。

交渉人として選んだのが、停職処分中の主人公コナーズ。

犯人の言動から、いますぐ突入すべきと判断するコナーズ。

銀行の電力を停止して、SWATが突入する作戦に出る。

しかし、突入寸前で罠だと判断したコナーズは作戦中止を呼びかけるが、SWATは実行してしまう。

すると、銀行内で大爆発が起こり、中の犯人も消えていたのだった・・・

金に手をつけていない犯人に対して、本当の目的は何か?この問題提起を中心に物語が進んでいく。

コナーズは新米刑事のショーンとコンビを組み、事件の解明を急ぐ。

すると、なんと銀行強盗の中心人物であるローレンツとは、コナーズが停職処分となった事件に関係することがわかった。

その事件とは、ジョン・カーティスによるカージャック事件だ。

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ジョン・カーティスは兄と一緒にカージャックを行ったが失敗する。

ジョンは女性の人質をとって抵抗したが、兄は逃げてしまっていた。

コナーズの相棒であるヨークのミスで人質を撃ってしまったがコナーズはジョンを撃って一応解決。

この件でヨークは懲戒免職、コナーズは停職となったのであった。

そして、ジョンを撃った復讐で兄のカーティスが犯行におよんだという内容だ。

しかし、実はそれも操作を混乱させる為の嘘であり、実はヨークとコナーズが組んでいたのである。

ただ、計画のアクシデントなどが積み重なり、暴走するヨークを裏切ることにするコナーズ。

自分は爆発で死んだことにし、すべてをヨークが仕組んだことに見せかける計画を実行するのであった。

まず、ヨークが犯人であることをカーティスの名をつかってショーンに教えるコナーズ。

ヨークが犯人であると知ったショーンは、ヨークを追いつめ射殺するのである。

ショーンはこれで事件が解決したかに見えたが、最後に電話がかかってくるのである。

それは大金を手に入れたコナーズなりの挨拶であった。

 

主人公が犯人という裏ワザの代償

この映画は最初からどんでん返しを狙っている。

だからこそ『カオス』というタイトルにしたのだろう。

ヒントや伏線も意外と平等に演出され、ラストはなかなか見応えがある。

しかし、コナーズが爆発に巻き込まれた時、遺体のDNA鑑定や、家の地下室など、さすがに調べ上げるはずだ。

よって、少し矛盾する点もあるのだが、この辺に目をつぶらなければ、主人公を犯人にするという技は成立しないのが残念である。

冒頭のカージャックでのヨークの描きかたも微妙だ。

逃げたジョン・カーティスの兄の存在も微妙。

この辺をもう少し丁寧に描いていれば、名作になった可能性も高い。

これでは悪い意味での『カオス』になってしまう。

 

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