※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
ロッキーシリーズの6作目にして、いよいよファイナルである本作。
1作目が1976年ということで、30年も愛され続けた伝説的なシリーズなのである。
どんな逆境を経験すれば、このような脚本が書けるのか?
すでに成功を収めているスタローンが、なぜここまで貪欲に魂を燃やし続けられるのか?
非常に感銘を覚える作品である。
本作では大きく分けて4つのターゲットに向けてのテーマがある。
・子供(息子)
・友人(ヒロイン)
・後輩(対戦相手)
・そしてロッキーと同じ世代の中高年
これらのターゲットに対して、還暦間近の男がとんでもない肉体を披露しながら伝えてくれるのだから、そりゃ説得力は満点である。
本作のキャッチコピーである「自分をあきらめない」を、スタローン自ら実践してくれているのだから頭が下がる。
トレーニングシーンを見れば、恐らくパート1からのファンは涙腺が崩壊されるであろう。
そこまで視聴者に伝えたいことは何か?
名言と共に振り返ってみたいと思う。
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目次
息子に対しての名言
ロッキーの息子であるロバートは、偉大な父を持つプレッシャーから少し人生に冷めている。
小さい頃から父と比較され、うんざりする気持ちは非常によくわかる。
母親であるエイドリアンの命日にも現れず、悲しむロッキーであった。
そんな中、父であるロッキーが復帰するニュースをみるのである。
これにより、また上司や友人に冷やかされ、ネタにされることを避けたいが為に、ロッキーにやめるように伝えるのであった。
つまり、自分の人生がうまくいっていないのを父ロッキーのせいにしているのだ。
そんな息子に対し、いったセリフが下記である。
世の中はいつもバラ色ではない
それなりに厳しく、辛いこともある
気を抜いたらどん底まで落ち込んで、二度と這い上がれなくなる
それが人生だ
人生はつねにお前を打ちのめす
強烈なパンチで
でも、どんなキツイパンチだろうと休まず前に進み続けろ
ひたすら苦痛に耐え、前に進むんだ
その先に勝利がある
人を指さし、それを自分の弱さをそいつらのせいにするな
それは卑怯者のやることだ
自分を信じて生きろ、でなきゃ人生でなくなる
この言葉にノックアウトされた息子ロバート。
その後、すぐに会社を辞め、真剣に自分の人生を見つめ直すのであった。
そして、まず行ったのが父を間近に見るということであった。
ヒロインがロッキーに言った名言
本作のヒロインは、パート1に登場した不良少女だったマリー。
「おぉ、あの少女か!」と記憶に残っている人も多いと思う。
そんなマリーが大人になり、なんと息子までいるのであった。
エイドリアン亡き後のヒロインということで、少し動揺してしまうかもしれないが、このマリーは非常に重要なキャラクターなのである。
それは、ロッキーを奮い立たせる役目があるからである。
あのロッキーであっても当然不安になることもある。
なんせ還暦間近のおじいちゃんだ。
いくら不屈の闘志があろうと、不安に押しつぶされることもある。
そんな中、マリーが名言製造マシーンとなるのだ。
心だけは年をとらないことを証明してみせて
あなたは生きる活力が外にまで溢れているタイプ。大抵の人は情熱はあっても、その炎を燃やす機会に恵まれず、いつか炎も消えていく。
あなたは他人の思惑になんて左右される人じゃないでしょ?
人の目にどう映るかなんてどうでもいい
自分自身が納得できるかよ?
この様に、ロッキーがマリーに励まされるのである。
これにより、ロッキーだけの独りよがりな説法映画にならず、自分の弱さを描きつつ、それを乗り越える作品に仕上がっているのだ。
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後輩ボクサーに対して
本作で対戦するのは、なんと世界ヘビー級チャンピオン。
もちろんエキシビジョンマッチではあるが、相手側も可哀想なのである。
まず、このチャンピオンは人気がない設定となっている。
圧倒的に強いので試合が盛り上がらないのだ。
また、対戦相手も弱い敵としか戦っていないのでファンからの支持を集められていないのであった。
少し強引な設定ではあるが、これによりロッキーと対戦すれば人気がでるかも?という動機が生まれるのであった。
なお、このチャンピオンを演じたアントニオ・ターバーは本物のボクサーであり、元ライトヘビー級チャンピオンである。
撮影当時も現役であり、ロッキーとの戦いはかなり臨場感があった。
これは言葉では当然伝えていない。
あくまでも試合の中でメッセージを送ったのだ。
その証明に相手ボクサーのセコンドが試合終了後「本物の試合ができて良かったな」と語っている。
ロッキーと同じ世代への名言
ロッキーシリーズは単なるボクシング映画ではなく、エイドリアンとの愛がメインテーマであった。
だからこそ、冒頭でエイドリアンが亡くなったことを知り、ファンは相当なダメージを受ける。
今まで失意のロッキーを奮い立たせてきたのはエイドリアンだったからである。
エイドリアンがいない「ロッキー」なんて考えられないのだ。
しかし、ファイナルでは見事にその失意を闘志に変えているのだ。
「心の中で、まだ何かが燃えている」
再度ボクシングの試合をしようとするロッキーが、親友であり、エイドリアンの兄ポーリーに言った言葉である。
ボクはこの言葉にノックアウトされた。
どんなに歳をとっても、最愛の人を亡くしても、自分が大切だと思うことに挑戦する姿は、ロッキーシリーズ最後のメッセージとして最高のメッセージである。
若い人も、年配の人も、心の中で何かが燃えている人は多いと思う。
しかし、通常は何か理由をつけてその火を消そうとするものだ。
それは歳のせいかもしれない。
何かを失った失意かもしれない。
しかし、それを打破する方法をシリーズ1作目からロッキーは伝えてくれている。
その打破する方法こそ本作のキャッチコピーである「ネバーギブアップ」なのだ。
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