※この記事には作品の感想(ネタバレ)が書かれておりますのでご注意ください。
『シックス・センス』では死者が見える子供の役を演じ、なんと11歳ながらアカデミー助演男優賞にノミネートされたハーレイ・ジョエル・オスメント。
そして注目が集まる次の作品が、本作『ペイ・フォワード 可能の王国』である。
今回も圧倒的な演技力によって、どんどん物語を引っ張っていく。
本作でパートナーとなるのが、これまた脂の乗っているケヴィン・スペイシー。
さらに母親役としてヘレン・ハントも加わり、脇をしっかり固めている状態だ。
そして、この様な実力派の役者と一緒にいても遜色のないハーレイ・ジョエル・オスメントの演技は流石の一言である。
シックスセンスのプレッシャーなど微塵も感じさせないのだ。
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目次
ペイ・フォワードの意味とは?
そもそもペイ・フォワードとは何か?
主人公であるトレバー(ハーレイ・ジョエル・オスメント)が考えた「世界をよりよくする方法」である。
これは、トレバーの先生であるシモネット(ケヴィン・スペイシー)が生徒達に与えた課題である。
「今より世界をよりよくするためにはどうすればいいのか?」という課題を学校で出したのだ。
そしてトレバーが考えた方法が「ペイ・フォワード」なのである。
これは「善意を次へ回す」という意味であり、簡単に説明すると善意を3人にするということである。
そして、その善意をもらった人は、また次の3人に善意を渡すというシステムである。
こうすることで、善意の循環が生まれ、よりよい世界になるとトレバーは考えたのである。
ペイ・フォワードは失敗したのか?
この方法を考えたトレバーが自ら実践する。
まずは、一人のホームレスに対して、食事と住まいを提供したのである。
自分の家に招きいれ、一緒に食事をするのだ。
このホームレスの男性は薬物中毒者であり、このトレバーの善意によって何とか断ち切る決断をするのであった。
しかし、やはりなかなか難しく、止められないのであった。
これにより、1回目の「ペイ・フォワード」は失敗したと落胆するトレバーであった。
そして2人目は何と自分の担任であるシモネット先生である。
独身のシモネット先生を自分の母に紹介するのである。
この子供らしい発想の演出も素晴らしい!
しかし、これによりシモネット先生と母は距離が近づいていくのであった。
そして3人目は、同級生であり友達のアダムだ。
アダムはいじめにあっており、なんとか救いたいと考えるトレバーであった。
しかし、なかなか勇気がでず善意ができないでいるのであった。
このように、自分でも実践が難しいペイ・フォワード。
この課題は失敗か?そう思うようになってきた矢先・・・
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世界中でペイ・フォワードの運動が始まる
実践が難しく、次に繋がらない可能性の方が高いペイ・フォワード運動。
しかし、トレバーの知らない所で、どんどん広まっていたのであった。
たまたまペイ・フォワードの善意を受けた記者クリスが、この発案者を探す取材を開始するのだ。
このクリスの視点が入るのが素晴らしい。
これにより推理的な視点でも作品を楽しめるのである。
善意を受けた人から、与えた人を聞き出していく、という真逆の展開にクリスの視点ではなるのだ。
このクリスの視点が非常にアクセントとなり、トレバーの一方的な物語にならなかった点が成功要因であろう。
小さな子供が考えた思考が世界を包む
ラストはトレバーがペイ・フォワードを実践しようとして、いじめの仲裁に入り刺されてしまう。
これにより、まさかの命を落としてしまう展開に。
母とシモネット先生は立ち直れないほど落ち込む。
しかし、夜になると家の周りが騒がしくなるのである。
なんと、たくさんの人々がトレバーの葬儀に駆けつけるのである。
何人いるのかわからな程の人数である。
小さいな子供が考えた「世の中をよりよくする方法」が世界中を包み込み、しっかりと次へ善意がバトンタッチされていたのであった。
アルコール中毒の母と、火傷を負った過去にトラウマがある担任の先生。
このように、キャラの濃い大人の役者を相手にしても、決して引けを取らないハーレイ・ジョエル・オスメント。
ただ、この辺の作品がピークだったのか?徐々にフェードアウトしていってしまうのは残念である。
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